また、バナジー氏はアンシスの長期的テクノロジー戦略として、今後5年間アンシスのビジネスをけん引するであろう技術トレンドに触れ、以下のスライドを基に8つのポイントを紹介した。
バナジー氏は「AI(人工知能)は今後のシミュレーション技術をさらに加速させるものだ。マルチフィジックス解析も当たり前になってくるため、全てのソルバーが使えるようなオープンなプラットフォームの提供も不可欠となる。さらに、並列処理による高速化、リアルタイムシミュレーション、シミュレーション駆動の最適化設計に対するニーズも高まるとみている。また、デジタル世界を現実世界に取り込むAR/VR技術、DXといった技術のサポートも重要になるだろう。もちろん、これまで通り、新たな物理領域への対応も考える必要があるし、シミュレーション技術のさらなる進化に向けた技術革新にも挑戦しなくてはならない」と述べる。
講演ではこのうちの1つ、マルチフィジックス解析に対応するオープンプラットフォームとして「ANSYS Minerva」にも触れた。「Minervaを活用することで、顧客は全てのシミュレーションのデータ、プロセスのデータを閲覧および管理することが可能となる。また、このプラットフォームにより、パラメータを活用した最適な設計が行えるようになる。Grantaによる材料データベースとの連携も実現する。Minervaは、オンプレミスでの利用はもちろんのこと、クラウド上からでもマルチフィジックス解析が行える柔軟なオープンプラットフォームである」とバナジー氏は説明する。
続けてバナジー氏は、技術トレンドの1つとして掲げた自動運転に関連し、BMWとの取り組みについても紹介した。通常、自動運転車の開発には試験車両を用いた実走行データが必要となるが、アンシスはシミュレーション技術により、全てのシナリオを網羅したかたちでこれをサポート。「われわれとしては、日本においても自動運転車の分野でさまざまな企業との連携を進めていきたいと考えている」(バナジー氏)。
また、電動化についてもオープンシミュレーション環境を提供しているとし、フォルクスワーゲンとの事例を紹介。フォルクスワーゲンの完全電気駆動レース車両「I.D. R Pikes Peak」の設計にアンシスのソリューションが採用されており、数々の新記録樹立に貢献したとする。
さらに、5Gスタックの開発ではエリクソンおよびノキアと連携。この分野におけるアジア太平洋地域の取り組みとして、LGエレクトロニクスとパートナーシップ契約を締結していることを紹介した。
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