モノづくり企業だからこそ、コトづくりも大事にするローランドDGデジタルモノづくり(2/2 ページ)

» 2019年11月01日 10時00分 公開
[八木沢篤MONOist]
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コトづくりのためのソフトウェア「cotodesign」

 COTOVANでの取り組みもそうだが、広く一般の人にコトづくりを体験してもらうためには、それなりの“仕掛け”が必要だ。UVプリンタなどのデジタル加工機はもちろんだが、専門のデザインツールをそのまま用いてはハードルが高い。こうした課題を解消するのが、自社開発のデザイン&プリントマネジメントソフトウェア「cotodesign(コトデザイン)」だ。

さまざまなデジタル加工機とつながり、デザイン作成から受注、印刷、販売までの一連のオペレーションが行える「cotodesign」 さまざまなデジタル加工機とつながり、デザイン作成から受注、印刷、販売までの一連のオペレーションが行える「cotodesign」 ※提供:ローランドDG [クリックで拡大]

 cotodesignは、UVプリンタやガーメントプリンタ、箔転写機といったデジタル加工機を使って、オリジナルグッズやギフトを製作、販売するための支援ソフトウェアである。店頭やイベント会場を訪れた消費者がiPadで簡単にオリジナルデザインを製作できるデザイン機能と、受注や出力業務をサポートするプリントマネジメント機能を統合。cotodesignがあれば、デザイン作成から受注、印刷、販売までの一連のオペレーションをこなすことができる。

UVプリンタガーメントプリンタ (左)UVプリンタ「LEF-12i」/(右)ガーメントプリンタ「BT-12」 [クリックで拡大]

cotodesignとデジタル加工機をセットにした店舗導入事例も

 cotodesignとデジタル加工機をセットで実店舗に導入し、実際にコトづくりサービスを展開している事例もある。例えば、スマートフォンケースの製造、販売を行うCOLLABORN TOKYOでは、顧客が自分で選んだスマートフォンケースにオリジナルデザインを印刷できるサービスを提供している。店頭でiPadを用いてデザインしたものが30分程度で手に入るとあって大好評だという。

新千歳空港内のイシヤカフェ新千歳空港店で製作できる「白い恋人」のオリジナル缶 新千歳空港内のイシヤカフェ新千歳空港店で製作できる「白い恋人」のオリジナル缶 [クリックで拡大]

 一方、新千歳空港内のイシヤカフェ新千歳空港店では、「白い恋人」のオリジナル缶を製作できるサービスを提供。専用スペースに設置されたiPadを用いて、顧客自身が店頭で撮影した写真や旅の思い出写真などをレイアウトして、缶に印刷できるというもので、新千歳空港への出店と白い恋人パークのリニューアルに伴うサービス強化の一環として、cotodesignとデジタル加工機の導入を決めたそうだ。

 cotodesignとデジタル加工機の組み合わせによるコトづくりは反響が大きく、「メイカーズベース(Makers' Base)と共同で、自分でデザインしたお弁当をトートバッグやTシャツなどのグッズにプリントできるサービス『メイカーズ弁当』を展開しているが、ここにもcotodesignが使われている。アートイベントの『デザインフェスタ』に出展し、SNSなどでも大きな話題となった。2019年8月には、そごう千葉店で期間限定イベントを開催。顧客がレイアウトしたお弁当のメモを基に、スタッフがiPadでデザインを作成し、ガーメントプリンタで商品に印刷するという流れになっていた」と伊藤氏は語る。

メイカーズ弁当(1)メイカーズ弁当(2)メイカーズ弁当(3) SNSで大きな反響のあった「メイカーズ弁当」(そごう千葉店での様子) ※提供:ローランドDG [クリックで拡大]

 cotodesignとデジタル加工機の組み合わせによって、これまでにない体験、コトづくりをすぐにスタートさせることができる。また、cotodesignというソフトウェアのおかげで、これまでデジタル加工機とは無縁だった店舗でも気軽にUVプリンタやガーメントプリンタといったデジタル加工機が活用できるようになった。

コトづくりの枠組みを丸ごとレンタルできるサービスも

「MY BEST TEAM SERVICE」を活用したオリジナルグッズの製作イメージ 「MY BEST TEAM SERVICE」を活用したオリジナルグッズの製作イメージ [クリックで拡大]

 さらに、パートナー企業との協業による新サービスとして、スポーツ業界向けのコトづくり「MY BEST TEAM SERVICE」も展開中だ。デザイン、トレーニング、機器、資材、プリントを基本パッケージとしたコトづくりの枠組みを丸ごとレンタルできるサービスで、選手を保有するスポーツチームが選手の名前や背番号などを活用したオリジナルグッズを、ファンイベントなどで気軽に製作できるというものだ。

 「こうした新しいコトづくりサービスの展開も進めつつ、当面はcotodesignを軸とした店頭やイベント会場などでのビジネスが中心となるだろう。将来的には、当社のデジタル加工機が多く稼働している工場と店舗をシームレスにつなげるような展開、仕組み作りを進めていき、cotodesignが街中にあふれている、そんな社会の実現を目指したいと考えている」(伊藤氏)

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