ローランド ディー.ジー.は、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)と共同で、「IAMAS×Roland DG共同研究monoFabアイデアソンミーティング」を開催。Arduinoに接続して制御機能を“ハック”できる切削加工機「SRM-20」を使ったハッカソンであり、約20人が参加して、従来の切削加工機の枠にとどまらない新たな機能を提案した。
ローランド ディー.ジー.(以下、ローランドDG)は、2015年2月7〜8日の2日間、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)と共同で、「IAMAS×Roland DG共同研究monoFabアイデアソンミーティング」を開催した。同社の東京クリエイティブセンター(東京都港区)で行われた同イベントに、約20人が参加した。
最近は、ハッカソンやアイデアソンといった形で、モノづくりに関するコンテストが週末などに数多く開催されている。今回のローランドDGのイベントもそういたハッカソンの1つだが、他と大きく異なる特徴が1つある。それは、ハックする対象が、工作機械の一種である切削加工機だったことだ。
ローランドDGは2014年9月、デスクトップ上での新たな“デジタルものづくり”の在り方を提案する新たな製品シリーズ「monoFab(モノファブ)」を発売した。monoFabは、光造形方式の小型3Dプリンタ「ARM-10」と小型切削加工機「SRM-20」から構成されている。今回のイベントのテーマは、これらのうちSRM-20の新しい可能性を探求するというものになっている。
SRM-20がテーマに選ばれたのには理由がある。なんとSRM-20は、オープンソースハードウェアである「Arduino」のボードを搭載できるスロットを内蔵しているのだ(関連記事:ローランドDGの小型切削加工機「SRM-20」に隠された“ヒミツの扉”)。
ローランドDGは、SRM-20の購入者だけがアクセスできるユーザーサポートアプリを介して、ArduinoからSRM-20を制御できるライブラリやサンプルコード、リファレンス(英語版のみ)などを提供している。
しかしながら、SRM-20にArduinoを接続する機能について、ローランドDGは保証も推奨もしていない。Arduinoを接続するために背面カバーを外すと保証対象外になるし、先述のユーザーサポートアプリを介してのライブラリは、その事実についてユーザーの了解を取ってから提供する仕様になっている。
Arduinoを接続可能な機能を用意しているにもかかわらずこのような制約があるのは、ローランドDGが、デスクトップとはいえ工作機械である切削加工機を提供する企業としての責任を守る必要があるからだ。とはいえ、「ユーザーとともに、Arduinoを使った新たな可能性も探求したい」(同社)という思いも強い。
そこで、IAMASの産業文化研究センター 教授の小林茂氏との共同研究という形をとり、「APIを提供する工作機械の評価と適切な理解で普及させるための方法」というテーマで実証実験を行うことになった。既に、2014年11月の「Maker Faire Tokyo 2014」で、IAMASによる開発事例が紹介されており、今回のイベントはそれに続くものだ。
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