デンソーとBeyond Next Venturesは、デンソーが開発した、手術などに用いるさまざまな医療機器を接続できる情報プラットフォーム「OPeLiNK(オペリンク)」の技術を基に事業展開するカーブアウトベンチャー「株式会社OPExPARK(オペパーク)」を設立すると発表した。
デンソーとベンチャーキャピタルのBeyond Next Venturesは2019年9月5日、東京都内で会見を開き、デンソーが開発した、手術などに用いるさまざまな医療機器を接続できる情報プラットフォーム「OPeLiNK(オペリンク)」の技術を基に事業展開するカーブアウトベンチャー「株式会社OPExPARK(オペパーク)」を設立すると発表した。
OPExPARKは、OPeLiNKを用いた手術機器情報統合システムの開発、販売と、OPeLiNKを介して抽出したデータにより詳細に見える化された手術の進め方など医師向け教育コンテンツの制作・配信サービス、2つの事業を展開する計画。2019年10月から正式に事業を開始する。本社は、AMED(日本医療研究開発機構)の2014〜2018年度の5カ年プロジェクト「スマート治療室(SCOT)」に基づき、OPeLiNKの開発を行ってきた東京女子医科大学の研究施設「TWIns」(東京都新宿区)内に置く。
従業員数は7人。OPExPARKの社長兼CEOには、内科、消化器系の医師であるとともに、ローランド・ベルガーでコンサルタントを務めた経験もある本田泰教氏が就任する。残りの従業員6人は、デンソー 社会ソリューション事業推進部 メディカル事業室のメンバーが移籍し、OPeLiNKの開発を主導してきたメディカル事業室長の奥田英樹氏は、OPExPARKの取締役副社長兼ファウンダーとなる予定だ。
デンソーは2016年から、新事業として8分野に注力する方針を示しており、OPeLiNKを含めたヘルスケアはその1つだった。デンソー 社会ソリューション事業推進部 部長の永井立美氏は「SCOTのプロジェクトが2019年3月に終わった際に、OPeLiNKの事業化を検討した。そこで、この良い技術を一刻も早く医療現場に役立てて行くためには、医療関連の事業に関わる人材が充実しているわけではないデンソーの中に置いておくのではなく、外に切り出していち早く国内、そして海外にも広げられる体制を付くべきだと考えた。そこで、カーブアウトという手法を取り、経験豊富なベンチャーキャピタルであるBeyond Next Venturesのイニシアチブの基で事業化していくことを決めた」と語る。
デンソーとして、事業の一部を切り出して外部連携により事業化を加速させるカーブアウトを行うのは初めて。OPExPARKの資本金は2億5950万円だが、Beyond Next Venturesのイニシアチブを持つという方針の下、デンソーの出資比率は50%未満になるという。一方のBeyond Next Venturesは、医療分野を中心とした大学系ベンチャーや技術系スタートアップへの投資を多数行ってきた。今回のOPExPARKのカーブアウトについては、Beyond Next Venturesが新たに取り組んでいる社内シーズの事業化支援プログラムの初の事例となっている。また、OPExPARK 社長の本田氏は、Beyond Next Venturesの起業家育成プログラムを受講しており、同社のベンチャー投資における最大の強みである経営人材支援を目的に就任している。
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