パナソニックは、プロ用音響システムのブランド「RAMSA」が手掛ける音響空間制御技術について説明。1998年の冬季長野大会以降のオリンピックで採用されてきたRAMSAに新たな技術を盛り込み、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の採用に向けて提案していく構えだ。
パナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社は2019年8月8日、東京都内で会見を開き、プロ用音響システムのブランド「RAMSA」が手掛ける音響空間制御技術について説明した。1998年の冬季長野大会以降のオリンピックで採用されてきたRAMSAに新たな技術を盛り込み、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)の採用に向けて提案していく構えだ。
RAMSAは、Research of Advanced Music Sound and Acousticの略で「先進的なミュージックサウンドと音響機器の探求」を意味している。1979年に、当時の松下電器産業が、劇場やコンサートホール、イベント会場など向けの音響設備を提供する初の日本企業として取り組みを始めたのがきっかけになる。それから、デジタル化や大規模システムへの対応、グローバル展開、大型のラインアレイスピーカーを核としたオリンピックの設備音響への挑戦を経て、この2019年で40周年を迎えた。2006〜2016年に新規開発を停止した期間などもあるが、プロの現場で活躍する音響システムとして「原音に忠実な音質と信頼性の両立」(パナソニック CNS社 メディアエンターテインメント事業部 テクノロジーセンター 商品設計部 商品設計六課 課長の松本泉氏)をたゆまず目指してきたという。
2016年6月には、RAMSAの第3世代ラインアレイスピーカーの開発着手を発表し、2017年末には商品化を完了している。そして、2018年の冬季オリンピック平昌大会で採用されるなど着々と実績を積み上げつつある。松本氏は「東京2020大会に貢献すべく、より大型の製品の開発も進めている」と語る。
第1世代でアナログ技術を極め、第2世代でデジタル技術と大規模化に対応したRAMSAだが、第3世代で注力しているのは、ステージとオーディエンスの距離を縮め一体感をもたらす音の提供に向けた「空間のコントロール」だ。
アーティストから観客に向けての表現だけでなく、観客からアーティストに向けた歓声や反応を届けるために音響システムがあるが、この音響システムを運用するPAオペレーターや、劇場やコンサートホールで音響システムを構築するサウンドデザイナーにとって「空間のコントロール」こそが最も重要になる。
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