花王は、シート式圧力センサーを活用して歩行時の足圧を測定し、データを解析する「足圧総合評価システム」を開発した。足指面積率、足型判定の結果から、ヒトの歩いている動作の特徴を解析する。
花王は2019年6月26日、東京医療保健大学医療保健学部 教授の今泉一哉氏らの研究グループと共同で、「足圧総合評価システム」を開発したと発表した。シート式圧力センサーを活用して歩行時の足圧を測定し、データを解析する技術で、足指面積率、足型判定の結果から、ヒトの歩いている動作の特徴を解析する。
足圧総合評価システムは、足指面積出力システム、足型判定システム、足圧評価システムの3つで構成されている。
足指面積出力システムの開発では、通常歩行を2試行以上記録し、足圧データを取得。足指部分を分離して足指面積率を算出し、性別と年代別に変化を解析したところ、男女とも70代以降で、足指面積率の有意な低下が認められた。
さらに、女性高齢者126人を対象に、直近1カ月間での転倒有無で足指面積率を比較したところ、転倒ありのグループで有意な足指面積率の低下が認められた。
足型判定システムの開発では、センサー圧力シートを用いて通常歩行を2試行以上記録し、足圧データを取得。足型判定指標として、足圧データの足指部分を削除し、足底部を前足部、中足部、後足部に3分割し、足底部全体に対する中足部の圧力比率を算出する。
圧力比率の性別、年代別の変化を解析した結果、女性では60代以降、男性では70代以降に偏平足化が認められた。さらに、扁平(へんぺい)足であるほど、歩幅や歩行速度などが有意に低いことが明らかになった。
足圧評価システムは、足指面積率と足型判定のデータから足指活用力、平均足圧、足型判定、そして総合評価として、足圧年齢を表示する。同システムの結果レポートを参加者に戻し、アンケート調査を実施した結果、自身の歩行機能を理解するきっかけとなり、歩行へのモチベーションが高まるとの回答を得られた。
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