極細繊維による積層型極薄膜を肌表面につくる技術を開発医療機器ニュース

花王は、直径がサブミクロンの極細繊維を肌表面に噴きつけて積層型極薄膜をつくる「Fine Fiber技術」を開発した。この技術により、体中のさまざまな部位の3次元形状や面積に合わせた膜を肌表面に自在に形成できる。

» 2018年12月10日 15時00分 公開
[MONOist]

 花王は2018年11月27日、直径がサブミクロンの極細繊維を肌表面に噴きつけることで、自然な積層型極薄膜をつくる「Fine Fiber(ファインファイバー)技術」を開発したと発表した。

 プラスに帯電した化粧品用のポリマー溶液を、マイナスに帯電した対象物表面に向けて噴射するエレクトロスピニング法(ES法)を応用した。専用装置にセットしたポリマー溶液が、装置のノズルを通して糸状に引き伸ばされながら噴き出し、肌表面で何層にも重なりあって膜を形成する。形成された膜は、端に向かって薄くなるため、肌との境目が視認できない。また、膜と肌の段差が少なく、剥がれにくい。

 この技術を用いることで、体中のさまざまな部位の3次元形状や面積に合わせた膜を肌表面に自在に形成できる。また、極細繊維の液体を吸い込む毛管力により、化粧品製剤を保持し、膜全体に均一に広げる。繊維の隙間から適宜水蒸気を通すため、肌を完全に閉塞せず、適度な透湿性が保てる。

 同社は、Fine Fiber技術を化粧品製剤と組み合わせることで、新しい化粧品の展開を目指す。将来的には、治療領域への応用も視野に入れ、研究を進めるとしている。

photo 肌に噴射したポリマー溶液(クリックで拡大) 出典:花王
photo 積層型極薄膜に、着色したモデル溶液(水色)が広がる様子(クリックで拡大) 出典:花王
photo ポリマー溶液の噴出イメージ(クリックで拡大) 出典:花王

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