ここまで、中小企業の景況感は緩やかに改善しているものの、人手不足の状況は深刻化しており、かつ生産性も上がっていないということを確認してきた。しかしながら、人口減少という事象そのものは一朝一夕には解決できないため、今後は人口減少を前提としたビジネスモデルを構築していく必要がある。こうした中で、先に述べたように「デジタル化」「グローバル化」が大きな追い風になると考えられる。そこで、ここからは中小企業の「デジタル化」と「グローバル化」の進展について焦点を当てていきたい。
中小企業を取り巻く環境の変化の中で大きなものが「デジタル化」の進展である。1990年代に入り、民間でもインターネットの利用が可能になり、1997年時点において9.2%だったインターネットの世帯普及率は、2002年時点では54.5%と急拡大し、2010年以降はおおむね80%程度の水準で推移している。
中小企業のインターネットの活用状況を、総務省「平成29年通信利用動向調査」で確認する。図7は、 従業員規模別に見たWebサイトの開設状況の推移である。2010年と2017年を比較すると、中小企業、大企業ともにWebサイトを開設している企業の割合が若干増加している。
次に、企業におけるブログ、SNS(Social Networking Service)や動画共有サイトなどソーシャルメディアサービスの活用状況を確認する(図8)。これを見ると、2011年時点において、大企業、中小企業ともに活用状況は1割程度と大きな差は見られなかったが、2017年時点においては中小企業の活用状況が25%に対して大企業が37%となり、差が拡大している。さらに、2017年におけるソーシャルメディアサービスの活用目的や用途を確認すると「マーケティング」ツールとしての活用について大企業と中小企業の差が見て取れる(図9)。
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