ここからは自己変革の方向性としてもう1つ、中小企業に求められる「グローバル化」について掘り下げたい。中小企業の海外展開については一般に大きく分けて、商社などを通じて自社の商品やサービスを海外に展開する「間接輸出」、海外展開を行う企業が直接外国企業との取引を行う「直接輸出」、他国に自社の子会社を設立したり、現地企業を買収したりすることで、経営権を有する企業を他国に設ける「直接投資」の3つのステップがあると考えられる(図17)。
「間接輸出」は、日系商社であれば通常の商取引となることから実施のハードルは相対的に低いと考えられる。「直接輸出」は、商社に支払う手数料が必要なくなる他、取引先と柔軟に取引条件を決めることが可能となる一方、海外との取引に関係する事務コスト(契約や貿易手続き)や取引国のカントリーリスクは自己負担となるため、間接輸出と比較してコストが大きい面もある。「直接投資」は、コストの低い海外での生産や海外での販売網の拡大を目的として行われるが、全てのリスクを負担する必要があり、この3つの形態の中で最もコストが高い。
図18は大企業と中小企業の直接輸出企業の割合の推移である。これを見ると、中小企業の輸出企業割合は徐々に増加していることが分かる。また、中小企業の輸出額と売上高輸出比率の推移を見ても、輸出額は製造業、非製造業ともに増加傾向にあり、売上高に占める輸出額の割合も増加傾向にあることが分かる(図19)。
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