StartDash Prototypingの特長の1つでもあるStartDash Boardは、プロトタイピングのための専用プラットフォームで、ソニーがこれまで取り組んできたモノづくりのノウハウを基に選定したBLE(Bluetooth Low Energy) SoC、フラッシュメモリ、リチウムイオン電池/電源、加速度センサーなどで構成される。このプラットフォームをコアとし、各種センサーやモータなどのアクチュエータをつなぎ込むことで、スマートフォンをインタフェースとしたIoT(モノのインターネット)機器のプロトタイプを迅速に開発できる。
「新規事業のアイデアによって技術的にとがった部分も当然あるが、その技術土台となる部分については、実はどんな製品も意外と似たような構成になっていることが多い。このプラットフォームを活用することで、新規事業の肝となる独自技術の開発に注力できるようになる」と伊藤氏。実際、同社の新規事業プロジェクトでStartDash Boardを活用してみたところ、アイデアを具現化する時間とコストが3分の1に短縮できたという。
また、Sony Open Innovation Day 2019の会場では、StartDash Prototypingの活用事例として、乳酸センサーを用いたアスリート向け疲労分析・評価サービスを手掛けるグレースイメージングの取り組みを紹介。かつて行った試作開発では仕様の抜け漏れから多くの手戻りが発生し、かなりの時間を要してしまったが、StartDash Prototypingを活用したところ約2週間でアイデアを可視化でき、量産を見据えた仕様、日程、コストなどの提案が行えたという。「われわれのサービスを利用したことで、『こちらの意図を組み込んだプロトタイピングが実現できるようになった』とのうれしい言葉をいただいた」と、伊藤氏はグレースイメージングから高評価を得たことを紹介した。
実際、スタートアップ企業として自分たちのアイデアに対して、投資家からの支援を受けるためには、ビジネスとしての可能性はもちろんのこと、実現性についても示さなければならない。そのためにも、高いレベルでの試作は不可欠であり、製品化を見据えた仕様策定などもしっかりと行う必要がある。「StartDash Prototypingであれば、商品試作基板の作成支援や、将来的な量産に向けたODM、OEMとのつなぎ込みもサポートできる。われわれのサービスと皆さんのアイデアを組み合わせることで、さまざまな社会問題の解決や新しいライフスタイルの創出が可能になると考えている。関心のある方は、ぜひSSAPのサイトにアクセスして問い合わせてほしい」(伊藤氏)。
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