京セラ、ライオン、ソニーは、子供向け仕上げ磨き専用歯ブラシ「Possi」を開発したと発表した。ソニーのスタートアップ創出支援プログラム「SSAP」に参加した京セラ発のアイデアを実現するためライオンが賛同して実現。大手企業3社が関わるものの約9カ月で製品化にこぎつけた。
京セラ、ライオン、ソニーの3社は2019年7月3日、東京都内で会見を開き、子供向け仕上げ磨き専用歯ブラシ「Possi(ポッシ)」を開発したと発表した。ソニーのスタートアップ創出支援プログラム「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」に参加した京セラ発のアイデアを実現するためライオンが賛同して実現したもので、大手企業3社が関わるものの約9カ月で製品化にこぎつけた。ソニーが運営する「First Flight」を通じたクラウドファンディングによる支援募集の形で販売を始める。価格は1万7500円だが、3色あるラインアップの各色先着100セットのみ1万4800円となっている(税込み、替えブラシ3本付き)。クラウドファンディングの期間は同年9月3日までで、目標金額は2000万円、約1300人からの支援により成立となる。
Possiは、幼児期から小学中学年くらいまでの子供の歯磨きで、みがき残しが残らないように親が手助けして行う「仕上げ磨き」専用の歯ブラシである。「子どもが嫌がる歯磨きを楽しい時間に変える」をコンセプトに、デザイン、音楽、テクノロジーを融合させた。機能はシンプルで、本体底部にあるオーディオジャックを使ってスマートフォンや音楽プレイヤーをつなげて音楽再生を始めた後、仕上げ磨きのために歯ブラシが子供の歯に当たると、歯に振動(音)が伝わって音楽を楽しめるというもの。子供が歯ブラシを噛んだりして仕上げ磨きの邪魔をするようなときに、音楽を止めるためのミュートボタンが備えられているが、それ以外のボタンはない。
京セラがスマートフォンの通話用に開発した圧電セラミックス技術「スマートソニックレシーバー」を応用し、ブラシが歯に当たっている間、つまり歯磨きしている間だけ音楽を楽しめるようにした。歯ブラシヘッドの内部に圧電セラミックスが組み込まれており、本体に内蔵するデジタル駆動アンプを使って圧電セラミックスの振動による音楽再生を行う。
ライオンは、高い振動伝達効果と優れた清掃性を両立するブラシ部の設計や、圧電セラミックス素子を内蔵した中空構造のプロトタイプ開発、実使用を想定した独自評価技術による品質確認などを担当した。
ソニーは、SSAPの社外向け案件第1号としてこのPossiプロジェクトを推進。京セラメンバーがソニー本社に常駐し、SSAPアクセラレーターがニーズ検証、モノづくり、セールスマーケティング、事業開発について総合的なサポートを行った。また、“暮らしになじむ、優しいカタチ”をイメージしたPossiのデザインや、ソニー・ミュージックアーティスツ所属の「DJみそしるとMCごはん」による楽曲提供などにより、日用品からエンターテインメント(体験価値)に変える世界観の構築でも貢献したという。
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