産業技術総合研究所は2019年6月10日、「『人』が主役となるものづくり革新推進コンソーシアム(Consortium for Human-Centric Manufacturing Innovation、以下HCMIコンソーシアム)」の設立総会を開催し、同コンソーシアムでの取り組み内容を発表した。
産業技術総合研究所(以下、産総研)は2019年6月10日、「『人』が主役となるものづくり革新推進コンソーシアム(Consortium for Human-Centric Manufacturing Innovation、以下HCMIコンソーシアム)」の設立総会を開催し、同コンソーシアムでの取り組み内容を発表した。新たに2019年4月に完成した産総研サイバーフィジカルシステム研究棟(以下、CPS研究棟)をベースとし、現在確立されていない「人の働きを自然に支援するモノづくり」についての基盤技術の確立を目指す。
HCMIコンソーシアムは、産総研、沖電気工業、日鉄ソリューションズ、三菱電機が設立発起機関となり2019年4月10日に設立を発表。その後、準備を進め今回設立総会を開催した。HCMIコンソーシアム 会長で産総研 理事 情報・人間工学領域 領域長の関口智嗣氏は「産業競争力懇親会(COCN)での提言を基とし、2019年4月に完成したCPS研究棟をその提言実現の場とすべく、HCMIコンソーシアムの設立を進めた。従来のIoTやスマートファクトリーへの取り組みは機械を中心としたデータ活用だったが、人の働き方を支える新たなモノづくりの姿を模索する。協調領域における基盤整備が必要だと考えている」と設立の動機について述べている。
具体的には以下の5つの点に取り組む。
関口氏は「市場のニーズは変種変量生産へと向かっており機械中心の自動化が投資に見合わなくなっている。一方で、国内の生産現場は人手不足が深刻化しており、これらを従来の人が中心になる方法で解決するのは難しい。そこで機械が人を支援し、より生産性の高い働き方を実現すべきだと考えた。これらの基礎となる技術はあるが、システムとして整備された形にないため、先導的に研究し、実証を行い、基盤技術を確立することを目指す」と述べている。
2019年6月10日に開催されたHCMIコンソーシアム設立総会では、企業として参加する正会員企業が10社、特別会員が5団体、連携団体会員が3団体参加。具体的な活動の体制や目標などを決めたという。
活動目標は「人と協調するコネクテッドインダストリ」の基盤技術確立と社会実装切削を推進することを大テーマと位置付け、具体的な目標としては以下の3つの点を挙げる。
組織としては、基盤技術確立を推進する他、収集データの管理や産業利用促進を行う「研究開発部会」、社会実装や実事業展開を促進する「ビジネスコネクティング部会」、会員および連携団体の協働の場を創出する「研究会」を用意する。
参加企業については「生産財側、ユーザー側、プラットフォーム、ソフトウェアベンダーなどが加入している」とし「正会員は10社中4社が中小企業」(関口氏)だという。「現状では参加企業は全て国内企業だ」(関口氏)とする。ただ、スマートファクトリー実現のためにはクラウドなどが必須となり、クラウドの主要ベンダーが海外企業であるという状況があるが「海外企業を参加させるかどうかは今後の研究内容や要望に応じて対応する」(関口氏)としている。
HCMIコンソーシアムの正会員は3段階に分かれており、情報共有のみのC会員は年会費10万円、コミュニティーに参加できるB会員は年会費が100万円、最上位のA会員は年会費400万円となっている。「会員数拡大の目標は置いていないが、徐々に大きくしていく。中小企業にもより多く参加してもらいたいと考えている。新しいところに入ってもらい多様性を増やしていくことが重要だ」と関口氏は述べている。
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