産業向けの取り組みで大きな意味を持つのが「OPC UA」への積極的なサポートである。OPC UAはドイツが進めるモノづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0」の推奨規格とされており、主にシステム間や規格間を結ぶ規格としてデファクトスタンダード化が進んでいる※)。
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マイクロソフトでは新たに、OPC UAサーバとクラウドをOPC UA PubSub通信※)で結ぶ「OPC Publisher」と、接続するだけでOPC UAサーバを自動的に探しクラウド環境内にデジタルツインを作成する「OPC Twin」、グローバル規模でのクライントおよびサーバの証明書を作成、管理する「OPC Vault」を開発。これらを自社のソリューションとして活用するだけでなく、オープンなソフトウェア開発Webサービス「GitHub」により公開されているという。
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鈴木氏は「OPC UAは、既に欧州などでは非常に多く使われており、これらに対応してどう接続を進めるかが重要になっている。しかし、製造現場などではこれらの技術を簡単に活用することは難しい状況もある。そこで、マイクロソフトでは自社でOPC UAの接続と活用を支援するソフトウェアを開発し、産業でのデータ活用を促進したい考えである。そこでGitHubでの公開にも踏み切った」と考えを述べている。
2018年も出展したスイスのBUHLER(ビューラー)はデジタル変革をさらに進化させたことを訴えた。ハノーバーメッセ2018では、事前学習したAIエンジンを選別機に搭載し、リアルタイムでトウモロコシの選別を行う様子をデモ。エッジ側での価値創出を訴えた。ハノーバーメッセ2019ではこれらのエッジ側で得られたデータをベースとして、「食の安全」を価値として提供する「モノ」から「コト」へのビジネス変革へと進化させたことを紹介した。
2018年に紹介したエッジソリューションにより、選別や加工を行った食材のデータを収集。そのデータをブロックチェーン技術により、サプライチェーンを構成する各企業などで活用するソリューションを紹介した。ブロックチェーン技術は「Azure Blockchain Workbench」を活用しているという。
鈴木氏は「食の流通にはさまざまな企業がかかわり、これらの企業が安全にデータを活用できるようにすることで、小売りなどに対する付加価値や物流の効率化など、さまざまな価値を生むことができる。そうしたソリューションの変革に取り組んでいる」とBUHLERの展示デモについて語っている。
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