デンソーは2019年4月5日、自動車の電動化領域で開発、生産を強化するため、2018〜2020年度までの3カ年で1800億円を投資すると発表した。この一環で、2020年5月にはデンソーの安城製作所に「電動開発センター」を設立する。
デンソーは2019年4月5日、自動車の電動化領域で開発、生産を強化するため、2018〜2020年度までの3カ年で1800億円を投資すると発表した。この一環で、2020年5月にはデンソーの安城製作所に「電動開発センター」を設立する。
さらに、2018年6月に発表しているトヨタ自動車からの電子部品事業の譲受について、当初の計画を前倒しして2020年4月から同事業の開発、生産を開始する。トヨタ自動車の電子部品事業に含まれるのは、ハイブリッド車(HV)のパワーコントロールユニット(インバーター、昇圧コンバーター、DC-DCコンバーター)やその構成部品の半導体、エンジンコントロールユニットなど。これらの電子部品を開発、生産する広瀬工場をデンソーに移管する。
電動開発センターは、先行開発から試作、実証、量産ラインの立ち上げや安定化を一貫して行い、電動化領域の製品開発を加速させる。電動開発センターを持つ安城製作所とトヨタ自動車から譲り受ける広瀬工場は、電動化領域のグローバルマザー工場と位置付ける。生産体制のさらなる強化を進め、世界各地の製造拠点に優れた生産ラインを展開するとしている。
また、2019年4月5日に、トヨタ自動車とデンソーは電子部品事業の集約を正式に決定し、事業譲渡契約の締結に合意した。トヨタ自動車とデンソーの双方で行ってきた電子部品事業を、より専門性の高いデンソーに集約することで競争力を高める狙いがある。
当初は、2019年末に生産を、2022年以降に開発機能をトヨタ自動車からデンソーに移管する計画だったが、よりスピーディーに新たな体制を実現するため、開発、生産の両機能を2020年4月1日付で集約することとした。具体的には、トヨタ自動車の広瀬工場における電子部品の生産、広瀬工場の土地と生産インフラ、電子部品の開発機能、該当する図面や開発設備がデンソーに譲渡される。
デンソーが手掛ける電動パワートレイン事業の規模は、これから一気に拡大する可能性が高い。例えばトヨタ自動車は、電動車の普及に向けて、駆動用モーターやパワーコントロールユニット、システム制御など同社がハイブリッド車(HV)の開発で培ってきた特許2万3740件の実施権を無償提供すると発表したばかり※)。無償提供する特許実施権には、デンソーが譲り受けたパワーコントロールユニットがもちろん含まれている。
※)関連記事:トヨタは電動化技術のシステムサプライヤーになる、「HVは賞味期限切れではない」
トヨタ自動車はHVの基幹部品がさまざまな電動パワートレインに応用できるコア技術であると位置付けており、高効率なHVを開発、量産したノウハウを、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車にも水平展開する。トヨタ自動車は特許を開放するだけでなく、“システムサプライヤー”として部品や技術も提供する方針だ。トヨタ自動車から他社への提供が進めば、デンソーが手掛けるパワーコントロールユニットの台数は「桁が1つ以上大きくなる。デンソーに集約してグローバルで戦えるパワーコントロールユニットを開発し、広く使っていきたい」(トヨタ自動車)としている。
アイシン精機と折半出資で立ち上げた新会社「BluE Nexus(ブルーイー ネクサス)」はトランスアクスルとモータージェネレーター、インバーターをパッケージ化した駆動モジュールを手掛ける。デンソーとアイシン精機はブルーイー ネクサスが開発した製品を受託生産する。
新会社は、EVだけでなく、HVや燃料電池車(FCV)も含めて関心を寄せられているとしており、2020年代の早い段階で収益が立つと見込む。ブルーイー ネクサスでは、HV向けに自動車メーカーのエンジンと駆動モジュールを組み合わせる適合開発まで含めて対応する。アイシン精機のギアトレーン技術とデンソーが持つインバーターの小型化技術を組み合わせることで、モーター専業のサプライヤーとの差別化を図る。
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