これらのアイデアを最終的にビジネススケッチへとまとめていくわけだが、その過程は簡単ではない。まとまりやすい議論であれば、新たな発想とは遠く、新たな発想であればあるほどまとまりにくいという相反的な状況が生まれるからである。
そのためワークショップでは、議論の過程などをさまざまな切り口で記録し、議論の中で生まれた「アイデアの種」を見逃さないような工夫をさまざまに重ねている。
「議論の過程を全て記録に残すという発想が重要だ。新しいアイデアは結果として何かに収束するが、ほとんどはその前の会話や議論の中で生まれている。こうした議論の中身を記録することで、新たな発想やアイデアを伸ばすことができる」と西山氏は述べている。
そのためのツールもさまざまなものを用意している。例えば、自然な議論をそのまま音声認識技術で記録し、さらに議論の音声が盛り上がったところのキーワードを抽出する仕組みや、ワークショップの参加者にセンサーを身に付けてもらい、位置情報から議論の盛り上がりなどを把握する仕組みなどを取り入れている。
議論の中で出てきたキーワードと関連性の高い言葉などをすぐに表示することなども可能だ。こうしたことがその場ですぐにできることで、新しいアイデアの種を種のまま終わらせることなく、ビジネスイメージに近づけていくことができる。
これらの取り組みにより、新たなビジネスの姿を少しでも具体的な形に近づけていく。西山氏は「既にいくつかでワークショップを通じて新たなビジネス創出に取り組んでいる話も生まれている。それぞれの目的やフェーズで最終的な着地点は異なるが、自社内だけでは難しい場合、さまざまなツールを活用することで新たな発想を少しでも現実化する支援はできる」とDTCの取り組みについて語っている。
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