「デザイン思考でデジタル変革する」って何するの? 最初の一歩とはイノベーションのレシピ(4/5 ページ)

» 2019年03月26日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

IoTによる新規ビジネス創出の取り組み

 「工場全体の最適化」は業務プロセス改善につながるため、発想なども一定の範囲に収まっているが、「IoTで未来を描く」をテーマとしたワークショップでは、さらに範囲が広がる中で、新たな形を作り出すという難しさがある。その中でも上流のビジネスアイデアのイメージを作るところまでをワークショップで行っている。

 ワークショップの基本的な流れは以下の通りである。

  1. IoTについての紹介と関連技術などのインプット
  2. 業務上の体験共有
  3. アイデアカードを使ったアイデア作り
  4. アイデアからの深掘り
  5. ビジネススケッチを描く

 「IoTで未来を描く」ワークショップなどを担当する富士通 オファリング推進本部 AI&IoTオファリング統括部 シニアマネージャーの西山聡一氏は「基本的にはバックキャストであるべき姿を探るということは変わらない。まずは既存の業務から離れて大きな夢を描くようなことが重要だ。しかし、非常に広範囲に及ぶので議論が発散しないようにしなければならない。そのさじ加減が難しく、ここでワークショップを活用してもらうイメージだ」と述べている。

 以下で実際にワークショップのイメージを見てみよう。まず、IoTなどのトレンドのインプットと対象とする業務などの共有を進めた後にはアイデアカードをベースとしたアイデア作りに進む。

アイデアカードを選ぶ

 さまざまな論点を含むアイデアカードが用意されており、解決したい社会課題や実現したい未来に近いものを選ぶ。壁面に表示されたカードをタッチするだけで簡単に拡大できたり、選択できたりする。こうした設備があるという点がワークショップを活用できる利点でもあるという。

photo アイデアカード。壁面をタッチするだけで選択できる。ちなみにカードのイラストなども富士通内で1つ1つ考えて制作しているという(クリックで拡大)出典:富士通

アイデアカードで選んだものをさまざまな切り口で分類する

 アイデアカードで選択したものは別画面で表示できるので、さまざまな切り口で分類することでそれぞれの関係性や新たな発展性などを生み出すことができる。

photo 場所を切り口に分類した様子(クリックで拡大)出典:富士通

 切り口はさまざまなものが可能で、コメントをアイデアカードに付け加えることも可能である他、手書きでコメントや相関性を追加することもできる。

photo 時間軸を切り口に分類し相関性などを考える様子。壁面にコメントなどを自由に書き込み、記録することで議論の過程を残す(クリックで拡大)出典:富士通

 最終的にこれらを重ねて、アイデアを具体的な形に落とし込んでいくという流れとなる。

photo アイデアを具体化していく様子(クリックで拡大)出典:富士通

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