スズキブースの主役は何といってもモデルチェンジしたばかりの「ジムニー」だ。これから歴史を積み重ねていこうとしているコペンに対し、ジムニーは1970年の発売からの実用車としても、ホビーの素材としても長い歴史がある。
しかも現状、軽自動車で本格的な走破性能も持つ四輪駆動車なんてクルマは、世の中を見渡してもジムニーしかないだけに根強いファンを抱えている。付け加えると、熱烈なジムニーファンまでいかなくとも一度でも所有したことがあると、その後も時々気になったり、また買ってみようかなぁと思ったりする魅力のあるクルマなのだ(まぁ、これは熱烈なジムニーファンはないけれど、過去には550cc規格のジムニーバンを所有していたことがある筆者の個人的な感想にすぎないのかもしれないが)。
そんなジムニー、スズキブースに置かれた2台の参考出品車はどちらもジムニーらしいカスタマイズとなっている。中でもピックアップトラック化させた「ジムニーシエラ ピックアップ スタイル」の方は、じっくりと見ている人も多く、派生車として市販を期待した人も多いのではないだろうか。フルモデルチェンジしたばかりの新型ジムニーは、会場のあちらこちらでもカスタマイズされたジムニーが見られ、なかなかの人気ぶりだ。
現在の自動車業界全体は、CASE(Connected/Autonomous/Share & service/Electric)という流れの中にある。クルマの未来ということでは、CASEが拡大していくのは間違いない。
自動運転やEV(電気自動車)が広がった世界というと、クルマが半公共交通機関のようなものとして描かれる未来像も多いが、クルマという工業製品は、単純な利便性だけで存在している製品ではない。馬なし馬車として自動車が発明された時から、早速に都市間レースをするなど遊びの道具としても、これまでに発展してきている。CASEが拡大していく中でも、遊びの道具、ホビーとしてのクルマという面が消え去るとは思えない。今回の会場では、メルセデス・ベンツが新型「Aクラス」を「つながるクルマ」として持ち込んでいたくらいかなぁという印象だったが、今後このテーマをオートサロンに参加する面々がどのように取り込んでいくだろうか、というのも興味深い。
持ち時間の都合で今回はこれまで以上な駆け足気味で、目的を絞ったブースしか見て回われなかったが、オートサロンは出ているものが雑多なだけに、時間があればあるだけ、あちらこちらに目が呼ばれるイベントであるというのは、いつも通りの安定感だなぁと感じつつ会場を後にしたのだった。
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