IoTの進展などにより、製造業のサービス化が大きく注目を集めている。横河電機発の産業用IoTスタートアップ企業であるアムニモの取り組みを聞いた。
IoT(モノのインターネット)の進展などにより、製造業のサービス化などが大きく注目を集めているが、多くの製造業がモノづくりから離れたビジネス創出に苦心しているのが現状ではないだろうか。その中で、製造業から飛び出し、構想から3年で新たなIoTサービスを開始しようとする企業がある。アムニモである※)。
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アムニモは2018年5月に発足した、横河電機の100%子会社となる産業用IoTサービスのスタートアップ企業で、2019年2月にサービスを開始する予定としている。同社がなぜ生まれ、どういう取り組みを進めていくのか。アムニモの代表取締役社長である谷口功一氏に話を聞いた。
アムニモは「とにかく簡単に使える」ということをコンセプトとし、主に産業用IoTをターゲットとしたサービス展開を行う。
展開予定の産業用IoTサービスの1つが「amnimo sense」だ。これは、独自のセンサーからデータ取得、運用までの必要な機能を全て内包するものである。複雑なプログラミングや回線契約、クラウド設定などの作業は全て不要で、セキュリティや運用状態はアムニモが24時間365日監視する。全てを包括的にサービスとして提供することが特徴である。
独自開発したエンドポイントデバイスはLPWA(低消費電力広域)ネットワークの1つであるLoRAWANに対応しており、低消費電力、長寿命でデータを取得し続けることが可能だ※)。価格も「30測定点のパックとなるが1測定点当たり月額1000円としたい」(谷口氏)と低価格に抑える計画。2019年2月から国内で試験サービスを開始し、2019年3月からはアジア地域でも試験サービスを開始、2020年1月から本格サービスを行うことを予定している。
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そもそもアムニモが生まれるきっかけとしてはどういうものがあったのだろうか。谷口氏は「取り組みのそもそものきっかけは2016年5月に横河電機の経営幹部から『IoTが注目を集めているがどうすべきか』というテーマを振られたことがきっかけだ。その後、米国などで主要企業の動向などを調査しIoT戦略などを横河電機内で固めた。そして2016年10月からはまず横河電機内でIoTを活用するための基盤作りが始まった」と当時を振り返る。
しかし、ここからすぐに現在のアムニモの形へと進んだわけではない。「その当時は、横河電機内でスマートファクトリー化などにも使うデジタル変革の基盤として開発が完了した後は、横河電機の既存ビジネスをさらに拡張するために外部サービス提供が進められないかの検討が始まった。既存ビジネスとの組み合わせでサービス化を進めていくという話だ」(谷口氏)。
ただ、産業用IoTの世界は、まだまだ正解の形が少なく、成功に近づけるためには、とにかくトライ&エラーを数多くこなすことが必要になる。また、必要となれば、従来競合だった企業などとも組む必要などがある。こうした中で「横河電機の枠組みの中だけで活動するには難しい点も出てきた。そこで、産業用IoTサービスの専業企業として独立する方向へと進んだ」と谷口氏は振り返る。
その後、2018年3月にアムニモ設立と産業用IoT事業開始が承認され、2018年5月にアムニモが正式に発足したという流れとなる。谷口氏は「横河電機のバックアップは当然あるが、アムニモの活動としては独立性を保ち、できる限り横河電機色を抑えて活動する方針だ」と語る。
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