データインテグリティとは、必要となるデータが完全にそろっており欠損や不整合が存在しないことを指す。データインテグリティを確保することで、データが一貫しており、正しくアクセス可能なことを保証することができる。よって、データインテグリティが確保できていない場合には、「悪意による意図的、もしくは事故によるデータの改変が防げない。改変が発生したことにも気付くことができない」(西山氏)としつつ、昨今頻発する不適切検査の一因にデータインテグリティの欠如があるとも指摘する。
データインテグリティを確保するための必要項目としては、FDA(米国食品医薬品局)やEMA(欧州医薬品庁)が定めたALCOA+(アルコアプラス)などがある。ALCOA+では、帰属性(Attributable)、判読性(Legible)、同時性(Contemporaneous)、原本性(Original)、正確性(Accurate)などの要件が掲げられている。
データインテグリティの確保でカギとなる部分としては下記のような項目が挙げられる。
特に、適切なユーザーのみがデータを操作できる権限設定や、データの上書きや消去を不可として、検査の生データと入力者や日時などのメタデータを一括して保存する機能、監査証跡を自動で記録し管理者のレビュー日時も自動で残す機能などの導入が有効だとした。
アジレント・テクノロジーでは、同社製分析装置や他社製装置でデータインテグリティを確保しつつ分析、計測業務を遂行できる「OpenLab」ソリューションを用意している。同ソリューションの中で最も低コストに導入できる「OpenLabCDS 2 スタンドアローンシステム」は、最大4台までの直接接続された同社製装置を制御できるソフトウェア。
「OpenLabCDS 2 ネットワークシステム」は、ネットワークに接続された同社製装置をどのクライアントからでも制御できることが特徴だ。また、「OpenLabECM XT ネットワークシステム」では、同社製装置以外にも対応するマルチベンダーシステムとなる。
西山氏は、品質不正問題が2016年から表面化した後よりデータインテグリティの重要性が製造業においても見直されてきたとし、「2017年頃からOpenLabソリューションが化学、素材メーカーなどから引き合いを受けることが多くなった。データインテグリティの確保を目的とした動きだろう」と話している。
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