国土交通省は2018年10月23日、光陽精機が製造し、川金コアテックが販売する免震・制振用オイルダンパーの一部で検査データの改ざんがあったと発表した。
国土交通省は2018年10月23日、光陽精機が製造し、川金コアテックが販売する免震・制振用オイルダンパーの一部で検査データの改ざんがあったと発表した。
光陽精機と川金コアテックは、川金ホールディングスの事業子会社。同日、国土交通省で不適切検査について説明する記者会見が開催され、川金ホールディングスの鈴木信吉氏(光陽精機と川金コアテックの社長を兼務)、光陽精機で取締役総務部長を務める早瀬尚氏が出席した。
免震・制振用オイルダンパーの検査データ改ざんを発表した企業は、KYBに続き光陽精機が2社目となる。
光陽精機では、免震・制振用ダンパーの一部で検査データの改ざんを行い、検査値が顧客との契約で規定される±10%許容線を超過した不適合品を出荷していた。なお、免振オイルダンパーについては、大臣認定で求められる±15%許容線に適合しているという。
検査データ改ざんにより出荷された不適合品は、免震用オイルダンパーが6本(物件数は4件)、制振用オイルダンパーが1423本(物件数は89件)。データ改ざんがあった期間は2005年2月から2018年9月まで。同社の免震・制振用オイルダンパー出荷初物件からも検査データ改ざんが見つかった。2018年10月出荷分にはデータ改ざんはなかったとする。
同社では、免震・制振用ダンパー全製品について検査時の生データを保管しており、今回の発表時点で全データを確認済みとする。その結果、適合不明な製品はなかった。その他、台湾など海外に出荷した制振オイルダンパーにも検査データの改ざんがあった。
同社では、KYBが不適切検査を公表した翌日となる2018年10月17日から、同種事案の発生有無について社内調査を開始した。同月19日にデータの改ざんが発覚、翌20日に社内調査委員会を立ち上げ、建築用免震・制振用ダンパー全製品の出荷を停止した。国土交通省への報告は翌21日に行ったとする。
川金ホールディングスは、物件所有者や建築会社など顧客の意向を踏まえて、対象製品の交換など適切な処置を行うと発表。交換費用が同社業績に与える影響については、「今のところ見通すことができない」(鈴木氏)。記者から経営責任を問う質問に対しては、「調査結果を待って判断したい」との言及にとどめた。
国土交通省は、本件について「建築物の安全・安心に対する国民の信頼を揺るがす行為であり、極めて遺憾」と発表した。同社に対して、2018年内に対象物件について免震・制振性能への影響を検証すること、交換などを迅速に行うこと、製品再出荷の場合には検査を第三者の全数立会で行うことなどを指示している。
また、国土交通省はKYBの検査データ改ざんを受けて、大臣認定を取得する他の事業者に対して検査データの改ざんや不適合品の出荷について有無を調査し、2018年内に報告するよう求めていた。しかし、本件を受けて、まずは社内調査結果を今週末となる10月26日までに緊急報告するよう各社へ依頼した。同種事案の新たな発覚の可能性は、今週末にヤマ場を迎えることになる。
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