日本電信電話(以下、NTT)は、「NTT R&Dフォーラム2018(秋)」の報道陣向け先行公開において、レーザー加工用ハイパワー光制御技術を披露した。レーザー加工機を手掛ける三菱重工業と共同で開発を進めており、2019年度には同社における加工実証の段階に入るという。
日本電信電話(以下、NTT)は2018年11月26日、「NTT R&Dフォーラム2018(秋)」(同年11月29〜30日開催予定)の報道陣向け先行公開において、レーザー加工用ハイパワー光制御技術を披露した。レーザー加工機を手掛ける三菱重工業と共同で開発を進めており、2019年度には同社における加工実証の段階に入るという。

レーザー加工用ハイパワー光制御技術のイメージ。従来、シングルモードレーザーによるレーザー加工はレーザー発振器のそばでしか行えなかったが(左)、新技術を用いればかなり離れた距離でも加工できるようになる(右)(クリックで拡大)シングルモードレーザーを用いるレーザー加工機は、高品質かつ高精度な加工が可能だがレーザーの伝送距離が数mと短いことが最大の課題だった。このため、レーザー光源のすぐそばでしか加工できなかった。一方、レーザーの伝送距離が数百m以上のマルチモードレーザーを用いるレーザー加工機は、加工精度は高いとはいえない。
今回開発した技術では、シングルモードレーザーの伝送に、NTTが光通信向けに開発してきたフォトニック結晶ファイバー技術を適用。これにより、kW級のシングルモードレーザーを数十〜数百mまで伝送できることを確認した。「大型になるレーザー発振器の設置位置は変えずに、工場内の各所で高品質なシングルモードレーザーによる加工が可能になる」(NTTの説明員)という。なお、フォトニック結晶ファイバーは、断面に空孔や高屈折率ガラスを規則的/周期的に配列した光ファイバーだが、今回の技術では約60個の空孔を持つものを用いている。
また、KTN結晶(カリウム、タンタル、ニオブから成る酸化物結晶)技術を適用することでビーム方向を自在に制御できるようになり、平行光から任意のパターン光を生成する計算機ホログラム素子技術を用いることでビーム形状も成業できるようになった。「シングルモードレーザーによる肉盛り加工は高品質だが、スキャン幅が狭いことが課題だった。KTN結晶と計算機ホログラム素子の組み合わせにより、従来比3倍のスキャン幅を実現できている」(同説明員)としている。
火花がほとんど出ないファイバーレーザー溶接技術、生産性を2倍に
レーザー加工だけで実現する撥水効果、金型表面に施し離型効果2割以上増加
切断幅を自在にコントロールできるファイバーレーザー技術を確立
微細な皮膜を形成できる直噴型マルチビーム式レーザーコーティング技術
純銅の溶接欠陥を95%削減する新たなレーザー溶接技術を確立
CFRPのレーザー加工、課題は速度と価格、そして臭いCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Factory Automationの記事ランキング
コーナーリンク