キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は、「Embedded Technology 2018/IoT Technology 2018(ET2018)」において、キヤノンのマシンビジョンシステムを用いた外観検査ソリューションのデモを2種類披露した。
キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は、「Embedded Technology 2018/IoT Technology 2018(ET2018)」(2018年11月14〜16日、パシフィコ横浜)において、キヤノンのマシンビジョンシステムを用いた外観検査ソリューションのデモを2種類披露した。
デモに使用したのは、キヤノンが開発/試作した、500万画素のグローバルシャッターセンサーとNVIDIAの組み込みAIボード「Jetson TX2」を搭載するPCレスのマシンビジョンシステム「AI powered vison system 5MGXMT ES」である。同システムは2018年9月開催の「GTC Japan 2018」で初公開された。
実施したデモは、深層学習(ディープラーニング)による学習モデルで硬貨の種類と表裏を判別する「硬貨の自動分類」と、一般的なルールベースの画像処理による「金属表面のキズ検査」である。
「硬貨の自動分類」では、1円、5円、10円、50円、100円、500円という6種の硬貨の裏表についてラベル付けを行い、硬貨表面の陰影に変化を持たせるなどして1万6000枚以上の教師データを用意して学習を実施。約9時間の学習により正解率98.7%の学習モデルが得られた。この学習モデルをマシンビジョンシステムのJetson TX2に実装して自動分類を行ったところ、20〜25fpsの速度で分類が行えたという。
一方、「金属表面のキズ検査」は、検査対象となるワッシャーを形状マッチングで選び出し、その表面のキズの有無について、画質補正、エリア分割、勾配方向/強度抽出といった一般的な画像認識フローで判定している。この画像認識フローは、Jetson TX2のGPUに最適化して設計されており、検査速度は約10fpsとなっている。「深層学習は教師データを用意する必要があるが、製造物のキズ検査となると学習に十分な教師データを用意できない可能性が高い。そういったときには、ルールベースの画像認識も大きな効果が得られる」(キヤノンITSの説明員)という。
なおキヤノンのマシンビジョンシステムは、グローバルシャッターのCMOSセンサーの採用により、一般的なローリングシャッターとは異なり、高速で動く対象の撮像のひずみが少ない。これにより、硬貨表面の文字や、金属表面のキズを正確に認識できる。
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