パナソニックは100周年を記念して行う同社初の全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日)を開催。その技術セミナーとしてパナソニックオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社エナジーデバイス事業部プロダクトマーケティング部部長の川口真一氏が「これからIoT端末に貢献できる小型、高信頼性電池の開発」をテーマに、同事業部のIoT端末市場への取り組みを紹介した。
パナソニックは100周年を記念して行う同社初の全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日)を開催。その技術セミナーとしてパナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 エナジーデバイス事業部 プロダクトマーケティング部部長の川口真一氏が「これからIoT端末に貢献できる小型、高信頼性電池の開発」をテーマに、同事業部のIoT端末市場への取り組みを紹介した。
パナソニックの電池事業は1931年9月に松下電器産業第8工場で生産を開始した乾電池事業が母体となる。主な取扱商品はアルカリ乾電池、マンガン乾電池、電池応用製品、ニッケル水素二次電池、マイクロ電池などで、従業員数は国内外合わせて8000人弱。生産拠点は国内1工場、海外12工場の合計13工場に及ぶ。
同社が現在取り組みを強めているIoT端末市場は今後さらに拡大すると見られている。広がる市場について同社では大きく3つのセグメントに分類する。
それぞれのカテゴリースペックをアプリケーション例で示すと、1つ目が「画像モニタリング通話、コネクティッドカー」となる。10Mbps以上の大きな情報伝達が必要となり、その接続端末数は2020年の予測としては世界で2億台の需要が見込まれている。2つ目は「スマートホーム、POSデータ」などビッグデータを集める機器だ。同8億台の需要を予測する。さらに3つ目として「環境センサー、スマートメーター、スマートパーキング、スマート農業」を挙げており同20億台を見込む。また、この分野の通信技術としては、特にLPWA(低消費電力広域)ネットワーク(LPWAN)が伸びるとみられている。
こうした中で、同社が強みを生かせる分野として3つ目の領域を挙げる。「この分野が最も数量的にも期待ができる」(川口氏)。特に、LPWAネットワークを中心とした通信分野に焦点を当て、電池の提案を行っているという。
LPWAネットワークにはLoRaWAN、SIGFOX、NB-IoTなどがあり、それぞれがアライアンスを組んでいる。周波数帯はLoRaWAN、SIGFOXが920MHzをメインにしており、NB-IoTは既存の携帯電話の通信網であるLTEを活用している。通信速度でみるとNB-IoTが速く、通信距離はLoRaWAN、SIGFOX、NB-IoTの順で長くなる。導入地域はLoRaWANが49カ国で稼働、95カ国で開発中だとする。SIGFOXは49カ国で導入済みで2018年末には60カ国に広がる見込み。NB-IoTは既存の基地局を使用しているため、既に広い地域で使われている。
それぞれに特徴があり、LoRaWANのメリットは通信コストが比較的安いが、デメリットとしてゲートウェイ設置が必要だ。SIGFOXは1カ国1キャリア契約で展開しており、通信モジュールのコストが安いものの、通信速度が低く、データ使用料が必要となる。NB-IoTは通信出力が大きく、高速通信可、ゲートウェイ設置不要などのメリットに対して、出力の大きなモジュールを使うことなどから、コストが高いといわれている。
これらに対して、パナソニックでは、それぞれの規格に向けて取り組みを進めている。
電池が重要となるのは駆動電圧の部分である。LoRaWANとSIGFOXについては2.2V、3.6V、3.8Vなどの電圧帯で駆動するので、パナソニックが現在保有するリチウム電池系の電池で駆動可能となる。NB-IoTでは、現在市場にあるもので最低電圧が3.1V必要なため、同社のリチウム電池では2直列にして電圧を調整するか、DC-DCコンバーターで電圧を上げるという工夫が必要となる。一方で低電圧化の開発も進んでいるため、近い将来には3V系のリチウム電池で駆動することも見込まれている。
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