しかし第4ドライバーの筆者へと交代直前、またも降り出した大粒の雨。あわやスピンという状況を乗り越えて、ピットにたどり着いた山口選手からマシンを受け取り、筆者はコックピットに潜り込む。給油を経て、すっかり暗くなった土砂降りのコースへと飛び出した。
最初の数周はタイヤのグリップを試すように慎重に走っていたのだが、その間も降り続く雨によってどんどん路面温度も下がっていったようで、マシンの感触を掴んでからもタイヤのグリップ感の乏しさには困り果てた。ステアリングからのインフォメーションに優れたNDロードスターだからこそ、伝わってくる感触とも言えるのだが、とにかくグリップレベルが低い。
ひょっとすると、これまでの走行でタイヤのショルダー部分をだいぶ痛め付けているのかもしれない。燃費制限がなくなったことでペースを抑える必要がなくなったと判断して、コーナーを自由に攻めていたことが災いしたのだろう。特に日ころ4WD車に乗っている山口選手は、ドライビング中の映像を見てもステアリングをややこじっているように見えたから、彼が主犯ではないだろうか。
1コーナー後半やダンロップコーナーを越えた右コーナー、第2ヘアピンは毎周、タイヤを滑らせながら走っている状態。ブレーキングを早めにしてリリースも早めに穏やかにすることで、4輪に荷重を分散させることを心がけても、この状態なのだ。DSC(横滑り防止装置)が働かないギリギリのレベルでスライドさせていても、2,3周に1回はDSCが作動してしまう。それにしても、このDSCの制御の介入ぶりは絶妙すぎる。昨年にも増して、マツダの走りへ作り込みの情熱が伝わってきた。
タイヤのグリップを超えた領域で走り続けても、最終コーナーで毎周そんな曲芸をやるのはリスクが大き過ぎることから、最終コーナーだけは確実に走ることを心がけて周回を重ねた。
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