リージャスが、16の国と地域を対象にした調査結果を発表。フレキシブルな働き方による効果を予測した結果、2030年までに世界で10兆400億ドルの経済効果が見込まれることが分かった。節約できる通勤時間は、延べ35億3000万時間に上るという。
世界各地でレンタルオフィスやコワーキングスペースなどを展開するリージャスは、2018年10月22日、「フレキシブルな働き方がもたらす効果に関する社会経済調査」の結果を発表した。
同調査は、16の国と地域(オーストラリア、オーストリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、香港、インド、日本、オランダ、ニュージーランド、ポーランド、シンガポール、スイス、イギリス、アメリカ)を対象としたもので、フレキシブルな働き方がもたらす経済効果について、各国のデータを基にした経済モデルを適用し、2030年までの影響を予測した。
その結果、16の国と地域でフレキシブルな働き方がもたらす経済効果は、2030年までに10兆400億ドル(約1128兆944億円)に上ることが分かった。この金額は日本とドイツの現在のGDPを合計した額を上回るという。
また、2030年までに、多くの先進国では雇用者のうちフレキシブルワークプレイスで業務に携わる人が8〜13%になると予測。フレキシブルな働き方が広がることで、コスト削減や生産性が向上し、最終的には経済全体に効果が波及すると見られる。
具体的な効果として、企業および個人の生産性向上、フレキシブルワークスペースを使用することによるオフィスの経費削減、通勤時間の大幅な短縮が挙げられる。
フレキシブルワークスペースによって粗付加価値(GVA:Gross value added=製品のGDP+補助金−製品に対する税金)が最大の増加率を示したのは、中国とインドだった。中国のGVAは193%と見込まれ、総額1兆4000億ドル(約157兆2900億円)の増加に相当する。インドでは141%増加する見込みだ。なお、アメリカはGVAの金額が最も高く、現在の同国GDPの20%以上となる4兆5000億ドル(約505兆5750億円)に上ると予測される。
フレキシブルな働き方は個人にもメリットがあるようだ。「仕事が好き」といえるリモートワーカーの割合を、同じ業界でオフィス勤務をする人たちと比べると、約2倍になっている。
また、フレキシブルな働き方が今よりも増えることを想定した、加速的な成長モデルを適用して算出すると、2030年までに延べ35億3000万時間の通勤時間が削減されることが分かった。これは毎年201万人が仕事に費やす時間に相当する。
この成長モデルで、通勤時間を最も節約できるのは中国、アメリカ、インド、日本と予測される。アメリカでは約9億6000万時間と、労働者全員が休暇を約1日増やせるほどの時間を節約できる。中国では14億時間を節約可能で、労働者が2時間多く使えるようになる。
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