特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

現場に与える目と脳、東芝が訴えるデジタル化の価値製造ITニュース

東芝デジタルソリューションズは、ユーザーイベント「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2018」において、画像やAI(人工知能)などを活用したさまざまな産業向けソリューションを紹介した。

» 2018年11月14日 07時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 東芝デジタルソリューションズは、ユーザーイベント「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2018」(2018年11月8〜9日)において、画像やAI(人工知能)などを活用したさまざまな産業向けデジタルソリューションを紹介した。

photo 「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2018」の様子(クリックで拡大)

スマートファクトリーでキヤノンと協業

photo 協業による成果をイメージした自動検査のデモ。赤丸部分でキヤノンのカメラが採用されている(クリックで拡大)

 注目を集めた展示の1つが、2018年11月6日にスマートファクトリー分野での協業を発表したキヤノンの画像機器と組み合わせたソリューション展示である※)。「Meisterシリーズ」などの東芝デジタルソリューションズのソリューションと、キヤノンの画像関連技術を組み合わせ、自動検査をイメージしたデモンストレーションを行った。

※)関連記事:東芝デジタルとキヤノンが協業、スマート工場向けに生産技術と画像技術を生かす

 デモとして行ったのは、ロボットアームがバーコード付きのワークの重さを測定し、色ごとに分別して棚に置くというものである。ワークの認識とバーコードの読み取りについてはロボットアームに取り付けられたカメラで認識する。重量計の数値については、ロボットの上方に設置されたカメラで読み取る。画像技術を効果的に活用することで、一般的な製品をそのまま活用できるという点が特徴である。

 計測した結果などについては、製造業向けICTソリューション「Meisterシリーズ」で蓄積、管理を行い、リアルタイムの情報をそのまま可視化することなどが可能となる。

photo 画像による自動検査の結果を見える化したもの(クリックで拡大)

設備メンテナンス向けのソリューションを追加

 メンテナンス領域向けでは「Meister Digital Field Work」を披露。「Meister Digital Field Work」は、現場の点検、保全業務に必要な情報やノウハウをモバイル端末に集約して参照できるようにするソリューションである。

 点検履歴や運転情報、故障の情報といった設備管理データと、センサーなどのIoTデータを統合し、設備管理システムなどの上位システムに依存することなく、モバイル端末から現場で必要なデータにアクセスできる。

photo 「Meister Digital Field Work」の画面イメージ(クリックで拡大)

 さらに、設備保全領域で既に展開しているAR(拡張現実)ソリューション「Meister AR Suite」を進化させ、タブレット端末だけでなくスマートグラスに対応した。「Meister AR Suite」は、ARでマニュアルを確認できる「ARマニュアル」、作業指示を得られる「ARナビゲーション」、マニュアルなどを作成・編集できる「ARコンテンツジェネレータ」をパッケージ化したもの。プログラミングが不要で直感的なGUI(Graphical User Interface)でARの専門知識がなくてもPCで簡単に作成、編集できることが特徴だ。新たにスマートグラスに対応したことにより、両手での作業を行いながら、ARによる作業支援を受けられるようになった。

photophoto スマートグラスを装着する様子(左)とオペレーター側から作業員の見えている状況を見て作業指示を行う様子(クリックで拡大)

製造技術を生かす取り組みも本格化

 さらに「製造業としての東芝」を生かす取り組みも本格化。東芝の工場などで生産性改善やツールの開発などを進める「生産技術センター」のメンバーがソリューション提案などに同席し、古い機械からのデータの取り方やデータモデルの整理の仕方など、モノづくりの現実的な知見を含めたアドバイスなどを行う。

 東芝デジタルソリューションズ インダストリアルソリューション事業部 デジタルトランスフォーメーション推進部 担当部長の福本勲氏は「製造業向けのデジタル変革の動きは着実に進みつつある。その中で、東芝では、半導体、社会インフラ、家電、電子部品まで幅広い製品を作ってきた歴史があり、その中でさまざまなモノづくり技術を培ってきた。提案先の要望に合わせて、生産技術センターの担当者が生きたアドバイスを行うことで、より早くIoT活用で成果が出せるようになる」と意義について語っている。

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