ソニーは2019年3月期(2018年度)第2四半期の決算を発表。半導体事業とゲーム事業が好調で通期業績目標を上方修正し、2期連続の過去最高益となる見込みを示した。
ソニーは2018年10月30日、2019年3月期(2018年度)第2四半期の決算を発表した。第2四半期の業績は、売上高は前年同期比6%増の2兆1828億円、営業利益は同17%増の2395億円、税引前利益は同24%増の2464億円、四半期純利益は同32%増の1730億円と好調な結果を示した。
セグメント別に見てみると、PS4が好調なゲーム&ネットワークサービス事業が売上高で前年同期比1169億円増の5501億円、営業利益が359億円増の906億円増と大幅に伸張したことがけん引した。
この結果を受けて2018年度通期の業績見通しは、売上高を前回予想比1000億円引き上げ、8兆7000億円とした他、営業利益が同2000億円増の8700億円、税引前利益が同2150億円増の9750億円、純利益が同2050億円増の7050億円と上方修正した。これにより、営業利益、純利益ともに、過去最高を更新する見通しとなった。セグメント別で見てもほとんどの部門で上方修正を実現している。
ソニー 代表執行役 専務 CFO 十時裕樹氏は2期連続の過去最高益の更新となったことに対し「前体制から継続して取り組んできた成果が出ている。経営チームのチームワークと意思疎通の良さがいい影響を及ぼしているように感じている」と前社長である平井一夫氏(現会長)の体制からの継続性による成果を訴えた。
好調を続ける半導体事業では、CMOSイメージセンサー向けで新たな設備投資を行う。2018年5月時点で「今後3年間で1兆円の設備投資を行い、その内半分がイメージセンサー向けの投資となる」と発表し5000億円規模の投資を行うことを表明していたが、さらに2割引き上げ6000億円規模の設備投資を行うという。
十時氏は「主にはスマートフォン向けの用途となるが2種類の投資を行う。1つは生産能力を引き上げるもので、もう1つがプロダクトミックスの変更に向けた投資である。具体的にはスマートフォン向けイメージセンサーの大型化と微細化に向ける」としている。
好調な中で唯一影を落とすのがスマートフォンを扱うモバイルコミュニケーション事業である。第2四半期も欧州向けが苦戦したことで減収減益。通期の販売台数も当初目標の900万台から700万台に下方修正した。2017年度は1350万台を販売していたので、半減することになる。
十時氏は「責任は痛感している。構造改革としてオペレーションコストの30%削減の目標を示していたが、これを50%まで引き上げる。現状ではスマートフォンビジネスでは商品力が弱いというのが課題。ここを改善する。具体的には2019年2月に新たにソニーらしい製品を出す」と述べている。
ただ、2019年度も赤字が残る状況で2020年度にようやく黒字化できる見通し。数年前の状況からするとスマートフォン事業は縮退が進んでいる状況だが、事業撤退に対しては「現状は考えていない」(十時氏)とする。その理由としては「5Gの時代になれば、スマートフォンが人やモノの、データやコンテンツを結び付ける重要なハードウェアとなる。通信のテクノロジーをプラットフォームとして維持し、技術をつないでいくためにも社内で持ち続けていかなければならない。そのために苦しくてもスマートフォン事業は続けていく」と考えを述べていた。
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