凸版印刷は、長時間使用に適したヘッドマウントディスプレイ「TransRay」と描画エンジンを発表した。特殊ディスプレイで自然な見え方に近くなるため、ヘッドマウントディスプレイ特有の酔いや疲労を軽減する。
凸版印刷は2018年10月17日、長時間使用に適したヘッドマウントディスプレイ「TransRay(トランスレイ)」と、3Dセンサーで撮影した3次元シーンをライトフィールド(光線空間)情報へ変換する描画エンジンを発表した。両製品ともに2019年3月から提供し、協業パートナーを募る。
人は、両眼視差と単眼のピント調節の2つの奥行き知覚を統合して、立体を視認する。従来のヘッドマウントディスプレイは、両眼視差による奥行き知覚のみに対応し、ピント調節による奥行き知覚には対応していないため、2つの視覚特性の間で差異が生じ、酔いや疲労の要因となっていた。
同社は、3次元空間の視覚情報を光線情報として再現するライトフィールド技術を活用して、ピント調節の情報を伝達する特殊ディスプレイを開発した。対象空間の光線情報をリアルタイムに表示することで、ピント調節による奥行き知覚に対応した。その結果、より自然な見え方に近くなり、ヘッドマウントディスプレイ特有の酔いや疲労を軽減する。
なお、同社は大阪大学大学院医学部との共同研究により、TransRayでは両眼視差とピント調節が連動して反応すること、単眼でもピントの調節に反応することを医学的に証明している。
今後は、ロボットや建機メーカーなどから協業パートナーを募り、TransRayの研究開発を進める。ロボットをより効率的に遠隔操作できるよう、各種センサーやAI(人工知能)とも連携させて、2020年度の実用化を目指す。
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