筆者は、産業のルネサンスとは「インダストリー4.0やスマートファクトリーといわれるデジタル化をはるかに超えていくものである」と理解している。基調講演において、「Innovation」という言葉を何度も聞いた。また、強調されていたことは、製造業において、業界の覇者であろうが、新参者やスタートアップ企業であろうが、いかにビジネス・プラットフォームを構築していくかということであり、すなわちダッソーの3DEXPERENCE プラットフォームを活用していくかということになる。
上の図は、インダストリー4.0の可能性について、2016〜2017年を国別の比較を行ったものであるが、日本の数値が低いことが分かる。
筆者は、日本においてはインダストリー4.0や「IoT(Internet of Things、モノのインターネット)」という言葉や、ツールのみが先行している状況であり、「インダストリー4.0とは何か」「インダストリー4.0の目的は」という認識に欠けているものと考える。更には、「ビジネスプラットフォームの構築ができていない」ということにより、「製造の一気通貫の仕組み」としての導入が進んでいないものと考える。
「IIoT(Industrial Internet of Things、産業のIoT)」とは、産業機械・装置・システムなどがインターネットを通じてつながることにより、創出されるサービスやビジネスモデルとその技術を示す。製造業における生産効率向上を行うことや、サプライチェーンの最適化が行われるなどがその成果だと筆者は考えている。
基調講演の中では、大手ファウンドリ(半導体の受託生産企業)が、中国に製造工場を建設し始め、中国のファウンドリの売上高の成長率が高レベルであること、また中国におけるロボット市場が拡大していることについても話があった。
半導体を実装する装置(後工程)の業界にも所属した経験がある筆者としてもこの状況は十分理解できる。また、CIIF2018も見学したが、日本国内で開催される製造関連の展示会をはるかに上回る規模の会場と出展社、あふれるばかりの見学者を見ていても、中国製造業の成長を感じざるを得ない。
この盛況な状況で、最新のビジネス・プラットフォームに接している現在の中国の状況については脅威さえも感じた。
今回のテーマは、文字通り「Manufacturing」、つまり「製造」である。開発設計工程を主体とする筆者にとって、また3D CADを中心とした推進者とすれば、これまで自ら提唱し続けてきた「3D CADは会社のインフラである」「3Dデータの会社全体での運用」において、製造工程での運用は非常に興味深いものだった。
今回のテーマとして取り上げられていたものが「ギヤボックス」であった。
開発設計工程をへたギヤボックスが「どのように効率的に生産できるのか」ということになる。
開催期間中のステージ上では、ダッソーのブランド製品「DELMIA」を搭載した5工程からなるギヤの組立装置が展示されていた。製造のデモンストレーションが行われると共に、会場にはこの組立装置を含み8つのインターラクティブワークショップが設けられた。(次回へ続く)
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