九州大学は、直径0.1mmの小型半導体ガスセンサーを用いて、100億分の1の有害ガスの検出に成功した。糖尿病やがんなどの簡易呼気分析ができる超高感度なマイクロガスセンサーの実現が期待される。
九州大学は2018年8月29日、直径0.1mmの小型半導体ガスセンサーを用いて、100億分の1の有害ガスの検出に成功したと発表した。同大学院総合理工学研究院 教授の島ノ江憲剛氏らの研究グループと、フィガロ技研による研究成果だ。
同グループは、これまで確立したガスセンサーの設計指針を活用し、パラジウム触媒を担持した酸化スズナノ粒子の凝集状態を精密に制御することで、数ppb(10億分の1)のVOCガスの検出に成功していた。
今回の研究では、同様の材料を瞬時加熱・冷却が可能な小型ガスセンサー素子に搭載し、センサーのON/OFFを繰り返しながら動作させることで、VOCガスをセンサー膜の内部に高濃度で導入する手法を提案。この手法により、従来の検出下限2.5ppbより1桁低い0.2ppbのトルエンガス(VOCガスの1種)の検出に成功した。
糖尿病などの生活習慣病から、がんなどの重大疾病を簡易呼気分析によって診断するには、0.1ppbレベルかそれ以下の濃度のVOCガスを検出する必要があり、従来のガスセンサーでは困難だった。今回の研究成果により、超高感度なマイクロガスセンサーの実現に期待が持てるとしている。
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