ただし、Additive Manufacturing Networkの事業化を進める上での課題は多い。採用事例として、ブガッティ(Bugatti)のスーパーカー「シロン」のリアウイングや、シーメンス パワー&ガスのバーナーなどが挙がったが、これらは生産規模が限定された製品の部品にすぎない。シロンのリアウイングでは50%という大幅な軽量化、シーメンス パワー&ガスのバーナーでは13点から1点という部品点数の大幅な削減という劇的な効果があるものの、積層造形が高コストであるという課題はクリアできていない。
この課題についてシーメンス マニュファクチュアリングエンジニアリングソリューション担当バイスプレジデントのアンドレアス・ザール(Andreas Saar)氏は「Additive Manufacturing Networkは積層造形のコストを削減できる仕組みだが、現時点で積層造形が高コストであることもまた事実だ。ただし、積層造形が新たなビジネスチャンスを生み出すことにも目を向けてほしい。積層造形の利用がより広がれば、設計者の考え方が変わり、モノづくりのスタイルも変わる。マインドセットを変えることが重要だ」と説明する。
また、同社 マニュファクチュアリングエンジニアリングソフトウェア担当シニアバイスプレジデントのズヴィ・フォイアー(Zvi Feuer)氏は「Additive Manufacturing Networkのソリューションは、顧客との協力がなければより良いものにならない。もし日本でAdditive Manufacturing Networkを利用してみたいという企業があれば、いつでも利用できる準備は整っているので、ぜひ申し込んでほしい。プラットフォームに仕立てたのは、積層造形の需要を増やすことが目的だが、単に積層造形を使いたいというよりも、イノベーションの手段として検討してほしい」と述べている。
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