矢野経済研究所は、国内M2M市場を調査し、アプリケーション分野別の動向、主要ITベンダー動向、次世代のIT技術動向、将来展望などを明らかにした。2017年度の同市場規模は、1770億円と予測する。
矢野経済研究所は2018年6月29日、国内M2M(Machine to Machine)市場を調査し、アプリケーション分野別の動向、主要ITベンダー動向、次世代のIT技術動向、将来展望などを明らかにした。調査は、2017年12月〜2018年4月に国内外のITサービス事業者や通信キャリア、MVNO、デバイスメーカー、ユーザー企業などを対象に、同社研究員による面談やアンケート調査、文献調査によって行われた。
同調査によると、2017年度の国内M2M市場規模は、前年度の1670億円と比較して6%増の1770億円になる見込み。2016年度は、新たなLTE通信モジュールの普及と、そのアプリケーションの利用拡大によって大手通信キャリアが堅調に推移し、NTTドコモやKDDIが提供するMVNOも好調だった。2017年度は、自動車や流通小売業向けMVNO関連などの需要拡大が加速、エネルギー関連やセキュリティ、製造、運輸や物流分野でのM2M利用が好調だ。
主な市場トピックスとしては、主要なITベンダーなどでトライアルユーザーを対象とした「IoT(モノのインターネット)スターターキット」の展開が挙げられる。データの収集や可視化、遠隔モニタリングなどが迅速かつ安価に実現できるパッケージソリューションを指し、そこでM2Mが利用されている。従来は製造業向けが中心だったが、物流や農業、社会インフラやエネルギー関連、セキュリティなど幅広い業種や分野への提供も始まっている。
2018年度以降は、LPWA(Low Power Wide Area)を利用した通信や、AI(人工知能)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、作業支援ロボットやコミュニケーションロボット、ドローンなどの機器、デバイス間での適用が進み、2022年度には国内M2Mの市場規模は2020億円の市場規模になると予測する。
しかし、徐々にM2MとIoTとの境界線があいまいになり、M2Mという呼称自体が消失する可能性があるという。また、M2Mを含めたIoT技術は、社会インフラの一翼を担うようになるとしている。
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