IDC Japanは、国内IoT(モノのインターネット)市場(支出額)のテクノロジー別予測を発表した。国内IoT市場全体としては、2016年の約5兆円から年平均17%で成長し、2021年には11兆円に達する見込み。けん引役は、IoTによって新たに可能になるサービス、『IoT Enabled』ソリューションである。
IDC Japanは2017年4月10日、東京都内で会見を開き、国内IoT(モノのインターネット)市場(支出額)のテクノロジー別予測を発表した。国内IoT市場全体としては、2016年の約5兆円から年平均17%で成長し、2021年には11兆円に達する見込みである。
IDCは世界約50カ国/地域でIoT市場の調査を行っている。今回発表した国内IoT市場は、20業種の産業分野と49用途のユースケースについて積み上げたユーザー支出額の総計になる。産業分野とユースケースを垂直カットと捉える一方で、水平カットとして、ユーザー支出額の総計に関わる12の技術の市場規模を取材/アンケートなどから導き出したのが、テクノロジー別予測となる。
今回のテクノロジー別予測は、12の技術を、ハードウェア(サーバ、ストレージ、セキュリティハードウェア、センサー/モジュール、その他ハードウェア)、コネクティビティ、ソフトウェア(アプリケーション、アナリティクス、IoTプラットフォーム、セキュリティソフトウェア)、サービス(導入サービス、運用サービス)の4グループに分類している。
4分類のうち、2016年から2021年までの年平均成長率は、サービスが21.8%、ソフトウェアが21.7%と高い、一方、コネクティビティは12.3%、ハードウェアは10.8%と比較的低かった。国内IoT市場に占める割合でも、2016年時点ではハードウェアが39.3%とトップ、サービスは27.3%だが、2021年にはサービスが33.3%となり29.9%のハードウェアを上回る。
IDC JapanでワールドワイドIoTチームのシニアマーケットアナリストを務める鳥巣悠太氏は「IoT市場の拡大をけん引するのは、IoTによって新たに可能になるサービス、『IoT Enabled』ソリューションだと考えている。日清食品やブリヂストンが進めている工場でのモノづくりの効率向上のように、社内で使うためのIoT市場は、15〜20年前にM2M(Machine to Machine)と呼ばれてきた時代から引き続き伸びていく。これに加えて急成長していくのが、ファナックやGE、コマツのようにIoTを活用したサービスにより顧客の問題を解決する『IoT Enabled』ソリューションだ」と語る。
また「IoT Enabled」ソリューションは、新たなユースケースも創出しているという。鳥巣氏は、ビル設備のモニタリングを行う「コネクテッドビルディング」や建設機器の遠隔管理を行う「建設アセット管理」、車載機器と搭載して自動車保険の料金を最適化する「テレマティクス保険」などが、ベンダーと有力企業の協業によって生み出されていると指摘した。
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