ミック経済研究所は、国内のエンベデッドシステム・ソリューション市場の中期予測を発表した。今後、ワイヤレスセンサーネットワークサービスが急拡大すると予測している。
ミック経済研究所は2017年12月4日、国内のエンベデッドシステム・ソリューション市場の実態を捉えたマーケティング資料「エンベデッドシステム・ソリューション市場の現状と展望 2017年度版」を発刊したと発表した。主要エンベデッドシステムベンダー68社に面接調査を行うなど、全体の市場動向と予測を分析している。
同資料によると、2016年度のエンベデッドシステム・ソリューション市場の売上高は9591億4000万円。その内訳は、ボードコンピュータやそれらを組み込んだコンポーネントを中心とするハードウェア関連が2562億6000万円、ミドルウェアや開発ツールなどのソフトウェア関連が1561億円3600万円、アプリケーションや保守、コンサルティングなどのサービス関連が5467億4400万円となっている。
2015年度比で見ると、ハードウェア関連市場は10.0%増、ソフトウェア関連市場が4.9%増、サービス関連市場が4.4%増で、市場は堅調に推移。ハードウェア関連の伸びが大きいのは、各種制御系機器のインテリジェント化やデータ収集ニーズに伴う、組み込みPCや各種センサー及びローカルエリアの情報を取りまとめるゲートウェイの需要が要因だという。一方、主にサービス関連でアプリケーション開発に関わる人的リソース不足が目立ったという。
2021年度の市場規模は、ハードウェア関連が3180億円、ソフトウェア関連が1863億円、サービス関連が6520億円で、合計は1兆1563億円と予測している。2016年度から2021年度の年平均成長率は3.8%になるという。
調査企業68社の2016年度の製品分野別売上高では、ECU(エンジンコントロールユニット)やカーナビを含む自動車関連機器が1834億1700万円で、全体の33.7%を占めた。ECUの開発は好調が続き、先進運転システムや自動運転システムの開発も増え、引き続き自動車関連機器が市場をけん引していくと予想している。注目製品分野としては、新たに調査対象に加えた社会システム型ロボット(コミュニケーションロボット、インフラ点検ロボットなど)の2016年度の売上は8000万円で、2017年度には68.8%増の1億3500万円となると見込むが、全体における構成比は0.01%と極めて小さい。
また資料では、IoT(モノのインターネット)化社会の実現において最も活用される技術として、ワイヤレスセンサーを使ったサービス(WSNサービス)に注目する。同サービスの2016年度売上高は64億4000万円で、その用途は、ビルや施設の空調・エネルギー管理、工場内での各種データの収集から、医療・介護用途での見守りやバイタルデータ採集、農業用途などでも活用されつつある。今後、LoRaやNB-IoT、SIGFOXといったLPWA通信技術の進展により、その用途が一層広がると想定。市場は大きく拡大して、2021年度には現在の約4.7倍となる300億円に成長すると予測している。
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