「人とくるまのテクノロジー展2018」では、国産パーツによるレーシングマシンの実現を目指す日本自動車レース工業会(Japan Motor-racing Industry Association:JMIA)が取り組みをアピールした。
レースの世界には、高強度化や軽量化はもちろん、安全性の向上やレギュレーションを満たすためのエネルギーマネジメントなど、さまざまな技術が投入されている。
「人とくるまのテクノロジー展2018」(2018年5月23〜25日、パシフィコ横浜)では、国産パーツによるレーシングマシンの実現を目指す日本自動車レース工業会(Japan Motor-racing Industry Association:JMIA)が取り組みをアピールした。
厳格なレギュレーションの下でコンマ1秒のタイムを競う自動車レースには、走る、曲がる、止まるという自動車の基本性能が高い水準で求められる。また、最近ではピットインの回数が勝敗を左右するため、燃費性能も重要なファクターになっている。
JMIAは、自動車技術に関わる企業約50社が参画するNPO法人だ。その目的は、中小企業が持つレース関連の技術を育成することによって、日本のレース産業の発展と振興を図ることにある。
これまでレーシングマシンの部品は、長い歴史を持つ欧州企業製のものが使われることが多かった。これらは高価なので、レース車両を用意するのに多くの資金が必要になる。また、整備や維持にも多大なコストがかかり、レース活動に必要な費用を押し上げていた一面がある。JMIAの活動は、日本企業によるパーツの供給を増やし、レース運営に必要なコストを下げることを目指している。さらに、日本製パーツの高い品質を国内外にアピールすることにもつながる。
今回のJMIAのブースでは、強度と軽さを両立したパーツを中心に展示が行われた。タマチ工業では、SLMソリューションズ社製の金属積層造形機によるサスペンションアームを展示。3Dプリンタを使うことで、これまでは不可能だった内部構造を持つ軽量高強度なパーツが作成できることをアピールした。
また、ピークスは駆動系やサスペンション関連部品を展示。強度と精度を求められるパーツを作成した実績を公開した。イケヤフォーミュラはシームレスシフト・トランスミッションを展示した。基本構造はMTで、シングルクラッチタイプでありながら加速時のトルク切れを防止する。DCTのような重量増なしに、燃費性能を向上できるという。この他、レーシングマシンの軽量化に欠かせないCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製のパーツなども展示され、レースに関心を持つ来場者の注目を集めた。
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