トヨタのオープンソース活用戦略、コネクテッドカーは「協力」でできている : Automotive Linux Summit 2018レポート (2/2 ページ)
トヨタ自動車の遠藤雅人氏。「この時期の日本でベストな服装で来た。コロンビアの方々には申し訳ない」とサッカー日本代表のユニフォームで登場した。
AGLやSDLといったオープンソース活用を進めているトヨタ自動車だが、遠藤氏は「オープンソースには幾つかのリスクがある。そのためにはコミュニティーの力を借り、協力したいと考えている」と語った。オープンソースソフトウェアを使う上では特許や著作権などライセンスの扱いが問題になる。
「自動車産業のサプライチェーンは大きい。ほとんど全てのソフトウェアはサプライヤーから出てくる。自動車メーカーが把握できないところでオープンソースが使われてはならない。コンプライアンスを向上するガバナンスシステムが業界全体で不可欠だ」(遠藤氏)とし、OPEN CHAINや、Linux関連の特許をメンバー間でクロスライセンスしてセーフティーゾーンを決める団体、Open Invention Network(OIN)での活動に注力している。
サプライチェーンでのオープンソースソフトウェアにまつわる著作権リスクとは(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車
OPEN CHAINはオープンソースソフトウェアのコンプライアンスを達成するために、満たすべき要件や仕様を定義し提供する団体で、トヨタ自動車は自動車メーカーとして初めて参加し、日系企業としては初めてプラチナメンバーになった。OPEN CHAINではガバナンス導入のプログラムや教育カリキュラムが用意されている。これにより、自動車メーカーは管理されていないオープンソースソフトウェアが混入するリスクを低減するとともに、どのようなソフトウェアが自社の製品に採用されているかを把握できるようになる。
2017年末には、アジアに特有の課題を議論するため、ソニーや日立製作所とともにOPEN CHAINの日本のワーキンググループを立ち上げた。26社40人が参加してコンプライアンス教育の在り方を議論しており、その成果はWeb上で公開されている。
OINでトヨタ自動車は、ボードメンバーとして自動車産業がAGLを採用する場合に特有の特許リスクの提起に取り組んでいる。その成果で、2018年夏にOINが定めるLinuxシステムの定義にAGLが加わる見通しだ。自動車業界からのOIN参加者を増やしていくことも遠藤氏は重視する。既に、Daimler(ダイムラー)やフォード、General Motors(GM)、ホンダがOINに参加を表明しており、2018年6月21日にはヤマハ発動機も一員となることが明らかになった。ヤマハ発動機はSDLのパートナーでもある。
よりよいソフトウェア社会に向けて、オープンソースソフトウェアの活動を継続していく(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車
メルセデスベンツの商用車部門が車載Linuxを採用、ソリューション開発の効率化図る
Mercedes-Benz(メルセデスベンツ)ブランドの商用車部門であるMercedes-Benz Vansは、商用車の次世代サービス向けにOS(基本ソフト)として車載Linux「Automotive Grade Linux(AGL)」を採用する。2018年内に実証実験ベースで取り入れる。クラウドと連携した物流の効率化など、顧客に合わせたソリューションを迅速に開発できるようにする。
新型「カムリ」のインフォテインメントは車載Linuxで、レクサスなどにも広く展開
トヨタ自動車は、次世代のインフォテインメントシステムで車載Linux「Automotive Grade Linux(AGL)」のプラットフォームを採用する。北米市場向けの「カムリ」の新モデルを皮切りにレクサスブランドでも採用し、幅広い車種に展開していく。
車載Linuxのオープンソース活動はアップルとグーグルへの対抗軸に成り得るか
トヨタ自動車などの自動車メーカーが、車載Linux「Automotive Grade Linux(AGL)」を中核とするオープンソース活動に注力している。2016年1月には車載情報機器向けの独自ディストリビューションを発表し、参加企業も国内自動車メーカーを中心に増加している。AGLの活動について、Linux Foundationの日本代表ディレクタに聞いた。
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トヨタはスマホと車載機の連携基盤もオープンソース、AppleとGoogleに対抗
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トヨタ、インテル、NTTなど7社が自動車エッジコンピューティングの団体を創設
インテル、エリクソン、デンソー、トヨタ自動車、トヨタIT開発センター、NTT、NTTドコモの7社は、自動車ビッグデータ向けネットワーク基盤とコンピューティング基盤の構築を目的とする「Automotive Edge Computing Consortium(AECC)」の創設に向けた活動を開始する。
自前主義からオープンソース活用へ、トヨタが車載情報機器の開発方針を転換
The Linux Foundationが開催した自動車アプリケーション向けLinuxのイベント「Automotive Linux Summit」において、トヨタ自動車で次世代車載情報機器の開発トップを務める第1電子開発部主査の村田賢一氏が講演を行った。
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