ということで以下のようなジオメトリを用意してみました。今回は、3D CAD「SOLIDWORKS」で形を作成したジオメトリをCAEの「SOLIDWORKS Simulationで」ヘキサメッシュを作成し、境界条件等必要な条件を作成した上で、Nastranのバルクデータ経由でOPTISHAPE-TSに読み込んでいます。
解析条件はこんな感じです。穴の内側2つを完全拘束して下面に分布荷重をかけています。
で、ここで先ほどお話した最適化のパラメータを入力していきます。トポロジー最適化を選択した後、まず目的関数を入力します。剛性はしっかりと維持したいものなので、それが目的関数になります。剛性の最大化はコンプライアンスの最小化なので、コンプライアンスを指定します。
制約関数ですが、体積を初期の形状と比較して60%以下にしたいわけなので、全体の体積を指定して0.6以下にします。
次に、トポロジーが変わってほしくない断面に対して位相変動制限を加えます。
そして、最後にトポロジー最適化の対象になる設計領域と非設計領域の定義をして、後は実行あるのみです。ここでは、設計領域は全てとしてあります。
で、解析結果はこうなりました。まず位相密度の表示です。
続いて位相密度等値面の表示です。
OPTISHAPE-TSで位相密度の変遷なども見られるのですが、後はこの結果を用いて部品の形状を修正して、そこで通常のCAEで応力解析などをやってもよいですね。
ということで、確かにトポロジー最適化は、設計者が考えたさまざまなパラメータに合わせて形を計算してくれるソフトですが、今回見てもらったように、全自動になることで何か素晴らしいことが自動的に起きるわけではありません。
一般的なCAE同様に、設計者は一体何を評価したいのか、制限しなくてはならないのは何なのか、それらの数値的な制限はどうすべきなのか、ということをしっかり押さえておかなければいけません。そうでないとそれこそ見当違いの結果になる可能性もあります。逆にいえば、それらを押さえている設計者にとっては素晴らしい道具になりえるってことですね。
では〜!(次回に続く)
水野 操(みずの みさお)
1967年生まれ。mfabrica合同会社 社長。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役。3D-GAN理事。外資系大手PLMベンダーやコンサルティングファームにて3次元CADやCAE、エンタープライズPDMの導入に携わった他、プロダクトマーケティングやビジネスデベロップメントに従事。2004年11月にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、オリジナルブランドの製品を展開。2016年に新たにmfabrica合同会社を設立し、3D CADやCAE、3Dプリンタ関連事業、製品開発、新規事業支援のサービスを積極的に推進している。著書に著書に『絵ときでわかる3次元CADの本』(日刊工業新聞社刊)などがある。
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