機械メーカーで3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回はCAEの最新技術について紹介する。
前回取り上げた「SOLIDWORKS WORLD(SWW) 2017」でも話題になっていたのが「トポロジー最適化」や「形状最適化」でした。
MONOistの記事にも、構造計画研究所と、くいんととの業務提携契約による3D CADソフトウェア「SOLIDWORKS」用アドイン「HiramekiWorks」の開発や国内販売において協業されたという記事が取り上げられています。「HiramekiWorks」は、SWW2017の展示会会場でも展示されており、私も実物を見ましたし、多くの来場者の注目を集めていました。
ソリッドワークスでも2016年に開催したSWW2016において、トポロジー最適化ツールの「Xdesign」の発表がありました。そして、今回のSWW2017では、SOLIDWORKSの次期バージョンである「SOLIDWORKS 2018」にこのトポロジー最適化の機能が実装予定であることの話があり、2017年の秋頃には発売される可能性があります。SOLIDWORKS 2018のβ評価で試すことができればと、今からとても楽しみにしています。
他社の製品においても、Autodeskの「Fusion360」では、「シェイプ最適化(Ultimate版のみ)」が実装されており、既にトポロジー最適化が可能です。
ここ最近、IoTと同様に、設計業界ではこの「トポロジー最適化」という言葉がトレンドになっています。そこで疑問……、トポロジー最適化の事例の画像は見栄えが良いのですが、どんなことをしているのでしょう?
「Topology」を日本語に訳すと、「位相幾何学」「位相数学」と訳され、もともとは数学の分野の話になります。私は、この時点で理解することを挫折しそうですが、理解を深めるため、もうちょっと頑張ってみましょう。位相幾何学とは、「図形を構成する連続的な位置関係のみに着目して、形状というものが何らかの法則や規則で定義できるということを学ぶこと」――こう言うと分かりやすいでしょうか?
私は機械設計者ですので、部品の形体について考えれば、1個の部品も連続的な点によって構成されているのは理解できます。さて、これを最適化するとはどのようなことなのでしょうか?
これまでもCAEを用いた「部品の最適化」という言葉は良く聞こえてきました。「オプティマイズ」(optimize)、「オプティマイゼーション」(optimization)という言葉も同様です。
実際に私も、CAEの機能を用いて、部品の最適化をしています。そもそもCAEというものは、妥当性検証や最適化を行うツールです。
最適化における要求事項や制約条件というものは以下のような内容で、それに基づき構造解析、熱流体解析、熱−応力連成解析を実行します。
この時に変更可能な寸法をパラメータ化して、それを変更することで、例えば「最も体積が小さい」、すなわち「軽い部品」を作成するといった方法を取ることもあります。
上の図は、SOLIDWORKS Simulationのデザインスタディ機能を用いた最適化の例です。この時は、452通りの自動計算を行いました。
この例では、純アルミニウム(A1060)製部品の各部寸法の上下限値を与えた上で、フレーム左側面のネジ穴を固定し、フレームの上部より荷重が付加した際の合成変位量を1?以下になることと、部品の重量が100g以下になることを条件にして、各部寸法のパラメータを自動に切り替えながら、解析を行い、最適値を求めています。その結果が画面上に最適として表示されます。
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