ネットワンシステムズは2018年6月8日、製造業向けIoTソリューションを体系化し提供開始したことを発表した。3年間にわたる大手製造業との実証および本番導入で得た知見を活用する。2018年度の目標売上高は40億円を目指す。
ネットワンシステムズは2018年6月8日、製造業向けIoT(モノのインターネット)ソリューションを体系化し提供開始したことを発表した。3年間にわたる大手製造業との実証および本番導入で得た知見を活用する。2018年度の目標売上高は40億円を目指す。
IoT活用およびスマートファクトリー化へのニーズが高まる中、従来はネットワーク化を想定していなかった工場内でもネットワーク接続が大きな課題となりつつある。ネットワンシステムズでは2015年から製造業向けのIoTソリューションへの取り組みを開始。3年間にわたり、大手製造業との実証実験や本番稼働を通じて知見を蓄積してきた。
ネットワンシステムズ 市場開発本部長 松本陽一氏は「製造業の中では工場のスマートファクトリー化へのニーズが高まっている。特に現場の見える化、トレーサビリティーの確保、兆候管理などの実現が求められているが、これらの前提となるのがネットワーク化だ。ただ、工場はそもそもネットワーク化を想定して構築されておらず、さらに現場の制御技術(OT)を理解した上で、情報技術(IT)の実装を行えるインテグレーターがほとんどいない。われわれはユーザー企業と3年間取り組んできたことで、その両面を理解した上で最適なIoT化が提案できる」と強みについて述べている。
今回提供するソリューションは、これらの製造業での実績と、同社がもともと保有しているネットワーク基盤、クラウド基盤、セキュリティ対策を組み合わせた統合基盤の技術力を組み合わせて、あらためて製造業向けに体系化したものである。
具体的には、「生産現場で生成されるデータの収集」「収集したデータの分析」「クラウドを活用した高度なデータ分析」「セキュリティの強化」のそれぞれをOTとITの視点の両面から実現する。
例えば、工場のIoT化を実現する上で、最も大きな課題が「つなぎたくても、つなげられない」という点だ。そもそも情報を取得できない古い機械や、機器にひもづくネットワークなどが混在し、一元的に管理するのが難しい。ネットワンシステムズでは「CPwE(Converged Plantwide Ethernet)」や「IEC62443」などの産業および工場分野のネットワーク、セキュリティの規格や標準技術を基に、PLCや製造機器、ロボット、センサーなどを接続する。
データについては、製造現場で生成される膨大なデータをネットワーク経由で収集し、工場内で迅速に処理するデータハンドリング基盤を整備する。具体的には、ユーザーの要望に沿った周期や時間帯、種別でデータを収集する仕組みを整えるとともに、収集したデータを可視化や分析アプリが利用できるようにフォーマットを整える。
これらの実証用の施設なども東京都と愛知県に用意し、ユーザーが検証したい内容を確認できるようにしている。
ネットワンシステムズ 市場開発本部 ICT戦略支援部 シニアマネージャー 黒田宣範氏は「工場用IoTは理想像を描きつつも、価値が生まれるところから順番に進めていくのが現実的だ。ネットワンシステムズでは『緩やかな標準、しなやかな実装』をテーマとし、ユーザーと積み上げてきた実践的で現実的な解決策を提供していく」と述べている。
現状のソリューションは大手製造業を対象としているという。今後ネットワンシステムズは、生産現場から収集したIoTデータに対して、分析アルゴリズムを独自に組み合わせ、不良品検知や予知保全を支援するサービスも提供する計画だとしている。
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