シーイーシーは2018年5月24日、設備と人、モノのデータを可視化し、生産現場の情報を簡単に見える化する「Visual Factory(ビジュアルファクトリー)」を2018年6月から提供する。
シーイーシー(以下、CEC)は2018年5月24日、設備と人、モノのデータを可視化し、生産現場の情報を簡単に見える化する「Visual Factory(ビジュアルファクトリー)」を2018年6月から提供する。
CECは2018年3月に中期経営計画を発表し、事業体制を再編。2つの主力事業の1つとしてデジタルインダストリー事業を置き、製造業向けのプロセス改革や製品・サービス支援を成長事業として展開していく方針を示している。その主力事業の成長を支える戦略製品の1つとして投入するのが、新たに発表した「Visual Factory」である。
従来の工場内の情報は、生産管理板、設備点検表、品質管理簿などさまざまな形で用意されているが、これらの情報が点在している他、デジタル化されていないという課題がある。そのため、これらの情報を統合的に収集し可視化することが難しく、工場内全体の動向を一元的に把握するのが難しかった。
「Visual Factory」は、工場設備の情報に加え、作業者の状態や動作、材料や製品の状態など、「4M(人、機械、材料、方法)」情報を一元的に可視化できるようにするものだ。
シーイーシー 執行役員の江上太氏は「ものづくり白書の調査などを見ても、製造現場のデータの収集は進んでいるが活用には壁があることが分かる。課題としてあるのが、設備からデータを取得する難しさ、収集するIoTプラットフォームやソフトの複雑さ、取得データの整形などの問題である。これらの障壁を低減し、より簡単に製造業がデータ活用に踏み込めるようにするのが狙いだ」と「Visual Factory」のねらいについて述べている。
「Visual Factory」は可視化ツールに位置付けられるが、前段階としてCECでは「データ取得」に貢献するソフトウェアやツールを展開。既に数多くの導入実績を残している。設備の稼働監視や実績収集ツール「Facteye」、作業員の位置把握と動線分析を行う「RaFLOW」、作業実績の把握や作業指示を行う「Smart Logger」、AIによる外観検査や自動化を行う「WiseImaging」などである。特に「Facteye」は100社以上の導入実績があり、これらのデータ収集ツールと組み合わせることで、工場全体の情報を一元管理できるようにする。
一方で、管理システムとしては製造ライン向け業務最適化支援システム「RaAP」や物流業務最適化支援システム「RaLC」、自動化ラインシミュレーションシステム「Virfit」、ロボット配置・動作最適化システム「RoboDiA」などとの連携も可能で、包括的に工場業務の最適化を実現できる。
江上氏は「CECは創業50周年を迎え、製造現場およびITの技術力の両面を抱えるシステムインテグレーターである。ユニークなポジションを持っていると考えている。自社のシステムだけでなく他社が展開するIoTプラットフォームとの連携も進めており、ユーザー企業がメリットのある形を作り出していく」と述べている。
生産情報を一元管理することで、ダッシュボードなどでの見える化を実現するだけでなく、品質情報の取得や画像情報の確認、異常時のアラートをスマートフォン端末に通知することなどが可能となる。
江上氏は「当社には長年製造現場に寄り添ってきた経験がある。製造現場で本当に使えるIoTとして提供していく」と抱負を述べている。
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