オムロンは社会変革のためのイノベーションの研究や創出を目的とした子会社「オムロン サイニックエックス株式会社」の設立を発表。拠点は東京都文京区本郷の角川本郷ビル。オムロンの中期経営計画となる「VG2.0」達成のためにけん引する技術や製品を生み出すべく立ち上がった。
オムロンは2018年4月25日、社会変革のためのイノベーションの研究や創出を目的とした子会社「オムロン サイニックエックス株式会社」の設立を発表した。資本金は1.3億円。同年4月26日より本格始動させた。拠点は東京都文京区本郷の角川本郷ビル。新会社の代表取締役社長 兼 所長には諏訪正樹氏が就任。かつて信号処理や機械学習のアルゴリズム3D画像計測原理および計測アルゴリズムの研究に従事した。
2011年にオムロングループが掲げた10年間の長期ビジョン「VG2020」において、最終の中期経営計画となる「VG2.0」達成のためにけん引する技術や製品の創出を同子会社では目指す。オムロンにおける注力分野である「FA」「ヘルスケア」「モビリティ」「エネルギーマネジメント」において、事業・革新アプリケーション、商品、技術を多産することで、社会ニーズの創造を加速していく方針だ。
「サイニックエックス」という社名は、オムロン創業者の立石一真氏が1970年に発表した未来予測論「サイニック(SINIC)」と、未知なる技術「エックス(X)」を組み合わせた言葉。立石一真氏の考えである「社会のニーズを先取りした経営をするためには、未来の社会を予測する必要がある」という思いのもとで立ち上がった。
オムロン執行役員常務 最高技術責任者(CTO) 兼 技術・知財本部長の宮田喜一郎氏は、「オムロンは1960年、当時の資本金の3倍を投じて中央研究所を設立、大規模プロジェクトを実行した。研究所の取り組みで収益を出し始めたのはそれから10年後だった。当社では、社会を変えていくために必要な科学技術を用意するという取り組みをしてきており、それが創業時からのDNAである。現在、社会課題は減るどころか増えている。社会課題を明確に定義して、そこに対する科学技術を生み出していこうというのがわれわれの技術経営である」と述べる。
今日の交通の中央管制システム、情報化社会、工場の自動化など、1970〜1980年代当時は全く形がなかったであろう事業の大体のイメージを立石一真氏ははっきりと描いていたという。諏訪氏は「内閣府の『Society 5.0』そのものと思えることも考えていたようで驚いた」と話す。立石氏の未来予測は、「自身の経営者としての経験と勘、嗅覚といった補正が入ることにより、結構、当たる」(諏訪氏)という。
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