オムロン サイニックエックスの掲げる「近未来デザイン」は、技術革新や社会変革を背景にして、未来像を構想し、事業・技術・知財などの視点で俯瞰しながら、 革新的な顧客価値の仮説を社会実装できるレベルで構想することを示す。その実行および実現に必要となる、技術革新の動向をいち早く捉え、新たなコア技術を創出していく。
「未来予想図を描く」ということはどの企業組織でも行われていることであるが、実際、世の中には抽象的で非常に漠然としたものも多い。オムロンでは先の「未来」も描きつつも、もう少し現実的な「近」未来を描くこと、すなわち事業のアーキテクチャとして具体的に描くことが重要と考えてきた。立石一真氏も、かつての大規模プロジェクトを構想した時点で、事業アーキテクチャに近い構図を描いていたということだ。
オムロン サイニックエックスはオムロングループ内での異動にとどまらず、社外の人材を多く採用したことが特色だ。「AI(人工知能)」「ロボティクス」「IoT(モノのインターネット)」「センシング」といった最先端技術の知識や経験に長けた専門家を集結させた。
技術顧問には人間と共生する汎用AIを研究する栗原聡氏を迎えた。同氏は慶應義塾大学理工学部 大学院理工学研究科 教授、国立大学法人 電気通信大学人工知能先端研究センター 特任教授、ドワンゴ人工知能研究所 客員研究員を務める。技術アドバイザーには自然言語と視覚の融合技術など研究する東京大学大学院 情報理工学系研究科 牛久祥孝氏を迎えた。
研究員には知覚情報処理・知能ロボティクスの専門家で京都大学大学院 教育学研究科の助教を勤めた橋本敦史氏、奈良先端化学技術大学院大学のロボティクス研究室出身でアマゾン・ロボティクス・チャレンジ(Amazon Robotics Challenge)にも挑戦しているエンジニア フェリクス・フォン・ドリガルスキ氏、オムロン社内からの出向で井尻善久氏、小西光春氏が就任した。
研究の中枢となるメンバーは社員であったり、外部パートナー契約であったりと雇用や契約の仕方がさまざまだという。従業員の特性や雇用形態にも多様性を持たせるとのことだ。「近未来デザインを描くことは難しい。難しいチャレンジへの取り組みは、オムロングループで閉じていたら困難である。よってわれわれは、社内ではなく社外から多くの人材を採用した」(諏訪氏)。
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