安川電機が描くスマートファクトリーの3つの役割と現在地スマート工場最前線(1/4 ページ)

IoTやAIなどを活用した革新的工場であるスマートファクトリーへの関心が高まっている。大手生産財メーカーである安川電機は、埼玉県入間市に同社のスマート工場の理想像を具現化する新工場「ソリューションファクトリー」を建設する。同社が「ソリューションファクトリー」で目指すものは何か。また具体的にどういう取り組みを進めているのだろうか。

» 2018年03月26日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 安川電機は2016年12月に、埼玉県入間市のモーションコントロール事業部入間事業所内に最新工場「ソリューションファクトリー」の建設を発表した。現在は、完成に向けて工事を進めているところだ。

 「ソリューションファクトリー」は“安川版インダストリー4.0”コンセプトの実証の場ともされ、同社が訴えるスマート工場の新コンセプトとして「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を具現化することを目指すところである。大手生産財メーカーとして安川電機は「ソリューションファクトリー」で何を目指し、どのような取り組みを進めているのだろうか。

 新工場に導入予定の生産ラインでは、新工場への移行に向けたさまざまな実証が行われているという。安川電機 執行役員でモーションコントロール事業部長の熊谷彰氏、モーションコントロール事業部 モーションコントロール工場長の白石聡氏、モーションコントロール事業部 事業企画部 部長の内山孝弘氏に話を聞いた。

変動に強い工場をどう実現するのか

 そもそも「ソリューションファクトリー」が入間事業所に建設されるようになったのはどういう経緯があったからなのだろうか。

 入間事業所は1964年に開設した長い歴史を持つ工場である。サーボモーターやサーボアンプ、コントローラーの開発と生産を行っており、モーションコントロール事業におけるマザー工場としての役割を担っている。

photo 安川電機 執行役員でモーションコントロール事業部長の熊谷彰氏

 しかし、熊谷氏は「円高など為替問題やグローバル競争の激化が進む中で、製造拠点にはさらなる効率化と、多品種少量生産を運用できる柔軟性が求められていた。一方でサーボモーターやコントローラーは非常に多くの種類が存在しており、併せて工場の設備の老朽化なども進んでいたことから、スマートファクトリー化で目指す方向性と条件が合った」と述べている。

 新工場で実現したい価値として熊谷氏が挙げるのがまず「変動に強い工場であること」だ。

 入間事業所で生産しているモーションコントロール製品の多くは工場内で使用される機器で利用されている。ただ、こうした機器群は設備投資となるために、季節的な需要変動が起きやすい。熊谷氏は「閑散期とピーク期の生産量の差は3倍以上にもなる」と安定的な生産の難しさについて語る。さらに最近では短納期化も進んでおり「変動に強く、効率的で柔軟な生産ラインが求められていた」と熊谷氏は述べる。

 需要が大きく変動するということは、同じ製品を一定の規模で流すような「専門設備による自動化」というのが難しくなる。需要量が多い時期には専門設備が足りず、少ない時期には専門設備が余るという状況になり、費用対効果を得られないからだ。そのため変動に対応するためには、汎用的な動作を行える産業用ロボットの活用が必須となる。

 さらに「ロボットを活用して個々の工程の自動化率を高めていくとともに、工程間の情報をやりとりすることで、生産ライン全体として最適化を進めていく必要がある」と熊谷氏は述べる。工場の理想像としてよく挙げられているのが「必要なものを必要な時に必要な数だけ作ること」である。ただ、1つの製品を作るのにもさまざまな作業や工程が必要であり、工程だけが単体で生産性が上がっても全体のスループットを上げることはできない。「多品種少量生産で変動が多い生産ラインで、生産性を上げていくためには、各工程間を物理的に『つなぐ』とともに情報面でも『つなぐ』ことが重要になる」と熊谷氏は強調する。

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