Volkswagen(VW)グループは、2022年末までに世界16カ所で電気自動車(EV)を生産する。現在のEV生産拠点は3カ所だが、2年後には9カ所に拡大する。
Volkswagen(VW)グループは2018年3月13日(現地時間)、2022年末までに世界16カ所で電気自動車(EV)を生産すると発表した。現在のEV生産拠点は3カ所だが、2年後には9カ所に拡大する。欧州と中国ではバッテリーメーカーとのパートナーシップを締結しており、北米でのサプライヤーも間もなく決定するとしている。
VWは2025年までに300万台のEV生産を計画している。グループ全体では電動車80車種を市場投入する。2018年は9車種の新型車を発表予定で、そのうち3車種がEVとなる。2019年以降はほぼ毎月、EVの新モデルを発売するという。
グループが投入するEVについては、コンセプトカーなどを通じて開発方針が示されている。例えば、VWブランドのコンセプトカー「I.D.」は、電気自動車専用のモジュール化戦略「MEB」(Modularer Elektrifizierungsbaukasten)を紹介している。2020年以降に市場投入するさまざまな電気自動車の開発のベースになるという。
MEBはパッケージングや電動パワートレインの配置に特徴がある。駆動用のリチウムイオン電池はフロアに収納し、シャシーと一体化した設計とした。車両の重心を下げるとともに、48:52と理想的な前後重量配分を実現する。駆動用モーターはリアアクスルと一体化。分離型サブフレームを採用したマルチリンク式リアサスペンションでハンドリング特性と静粛性を兼ね備えるとしている。自動運転技術によって今後、車室がコミュニケーションスペースとして重視されていく傾向をにらみ、スペース効率の向上も図っている。
MEBを採用したコンセプトカーの「I.D.」シリーズは、SUVタイプの「I.D. CROZZ」、バンタイプの「I.D. BUZZ」、セダンタイプの「I.D. VISION」と車両タイプのバリエーションを増やしている。コンパクトハッチバックタイプのI.D.とI.D. CROZZは2020年に、I.D. BUZZは2022年に市販する計画だ。
VWグループのプレミアムブランドであるアウディとポルシェもEV用のプラットフォームを用意する。両ブランドが共同でプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)というアーキテクチャを開発中だ。SUVからセダンまでカバーするプラットフォームで、パッケージ、ホイールベース、スペースでEVの利点を活用する。
PPE採用モデルは2021年に登場予定で、3つのモデルファミリーに展開するという。PPE採用モデルとは別に、アウディは「e-tron」シリーズのEVを、ポルシェは「Mission E」を2018〜2019年に投入する。アウディは、VWのMEBや共同開発のPPE、従来型のアーキテクチャなどによって、多様な製品ポートフォリオを展開していく。
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