スズキは、「2025国際ロボット展」において、開発中の「モビリティ連携基盤」を用いたインフラ管制自動走行システムのデモンストレーションを披露した。
スズキは、「2025国際ロボット展(iREX2025)」(2025年12月3〜7日、東京ビッグサイト)において、開発中の「モビリティ連携基盤」を用いたインフラ管制自動走行システムのデモンストレーションを披露した。
このモビリティ連携基盤は、芝浦工業大学発スタートアップのハイパーデジタルツインと共同開発しているものだ。自動走行するモビリティを含めて走行エリア内の空間情報をLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)を用いて収集し、リアルタイムな動的空間データとなる「リアルタイムデジタルツイン」を生成する。このリアルタイムデジタルツインによって対象となる空間内で発生する事象を瞬時かつ正確に捉えて、モビリティの自動走行に必要な認知/判断をインフラ側で制御することによって、従来にないインフラ管制型自動走行が可能になる。
デモンストレーションでは、展示ブース中央にあるステージを使って、スズキの多目的電動台車「MITRA」をベースにハイパーデジタルツインが開発したAGV(無人搬送車)「Bewro」を自動走行させた。ステージ内の空間データは四隅にある柱の上に設置したLiDARを用いて収集しており、そこからリアルタイムデジタルツインを生成している。Bewroは、センサーや自律制御システムなどを搭載しておらず電動台車としての走行機能しか持たないものの、リアルタイムデジタルツインを基にした無線制御により、ステージを周回する自動走行が問題なく行えることを示した。
なお、自動走行の途中で、走行ルートの先に人を検知したり、他の小型モビリティが横切ったりする場合には自動で停止する。他にも、Bewroの荷台に人が荷物を載せようとする際には、いったん停止して荷物が搭載されたことを確認してから走行を再開するなどの連携動作も行っていた。
「今回のデモで使っているLiDARは1個当たり約10万円の市販品だ。モビリティ連携基盤は、この安価なLiDARで約30m先の5cmのものを検知できる。高精度のリアルタイムデジタルツインによって、モビリティ側にセンサーなどを搭載する必要がなくなり安価に導入できるようになる。さらに、複数のモビリティが混在していてもそれらを全て認識して連携させられる。スズキのモノづくりの行動理念である『小少軽短美』をモビリティの自動走行で実現できる技術だ」(スズキの説明員)
このモビリティ連携基盤は、2026年度までに事業向けシステムの開発と検証を行った上で、2027年度中に正式リリースして事業化する計画である。
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