Robert Bosch(ボッシュ)が電動車向けの駆動用バッテリーのセルを内製化しない方針を示した。
Robert Bosch(ボッシュ)は2018年2月28日、電動車向けの駆動用バッテリーのセルを内製化しない方針を発表した。投資コストの高さが判断の決め手となった。バッテリーセルは従来通り外部から調達する。バッテリーのシステムの開発やセルの技術仕様作成などは今後も数百人体制で継続していく。
この方針に伴い、バッテリーセルの内製化を目的とする開発や研究を終了する。具体的には、2014年にGSユアサや三菱商事と設立した合弁会社「リチウムエナジー アンド パワー」で次世代リチウムイオン電池の開発に取り組んでいたが、同合弁会社は解散させる。また、全固体電池を研究する子会社「SEEO」は売却する。しかし、全固体電池そのものは将来性のある技術であるという認識を示した。
バッテリーセルの内製化でハードルとなったのは、投資コストの高さだという。シェア20%を確保し、容量で200GWhに相当する数のセルを量産することを前提に試算した結果、競争力のあるバッテリーセルを市場ニーズに即して生産するには初期投資で約200億ユーロ(2兆6000億円)、ランニングコストが年間数十億ユーロ(10億ユーロ=約1300億円)が必要になることが分かった。
このランニングコストのうち4分の3が材料コストであり、競争優位性を高める余地が少ないと見込む。投資を回収できるのかどうか、回収時期がいつになるかめどをつけにくい状況であり、「会社全体の展望を考えた時にそのようなリスクが伴う投資には踏み切るべきではないと判断した」(ボッシュ)。
ボッシュは、電動化事業で重要なのはバッテリーセルへの理解であり、セルの内製化を断念することは競争力の低下にはならないと強調する。「現在もわれわれは、個々のコンポーネントを統合してバッテリーシステムを作ることができる。高効率の48Vバッテリーシステムや、魅力的なバッテリーマネジメントシステムを開発している」(ボッシュ eモビリティ担当のMathias Pillin氏)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.