矢野経済研究所が、国内のCAD/CAM/CAEシステム市場の調査結果を発表した。2017年度の国内同市場規模は、雇用や所得環境の改善、設備投資の増加を背景に、前年度比3.5%増の3637億円となる見込みだ。
矢野経済研究所は2018年2月26日、国内のCAD/CAM/CAEシステム市場の調査結果を発表した。調査期間は2017年6〜11月で、対象は機械系CAD/CAM/CAEやEDA(Electronic Design Automation)のシステムメーカーおよび土木、建築系CADのシステムメーカーとした。
2016年度の国内CAD/CAM/CAEシステム市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比6.3%増となる3513億円。2017年度は、2016年度に引き続いて雇用や所得環境が改善し、生産の増加や企業収益の改善などから設備投資も3〜4%程度の増加が見込まれるという。こうした背景から、2017年度のCAD/CAM/CAEシステム市場(同ベース)は、前年度比3.5%増の3637億円となる見込みだ。
同市場で注目される動向として、同研究所ではビジネスモデルの移行やAI(人工知能)、プラットフォーム化を挙げている。
CAD/CAM/CAEシステムメーカーのビジネスモデルは、ライセンス販売が大半を占めている。外資系大手ベンダーには、ソフトの利用権を借りてその期間に応じて料金を支払うサブスクリプション方式に切り替える動きが見られるものの、サブスクリプション方式はクラウド経由で提供されるため、エンジニアリング分野でクラウドの本格利用があまり進んでいない製造業での導入は少し先のことだと予想される。
AIとCAD/CAM/CAEシステム市場との関連については、ポスト処理した後の画像にCAEの解析結果を適用して簡単な1次スクリーニングに活用するなど、今後、画像処理と相性の良いディープラーニングなどの利用が進むと予測する。
プラットフォーム化は、国内製造業ではエンジニアリング分野のクラウド化について保守的な方針の企業が多く、それほど進展していない。ただ、CAD/CAM/CAEシステムメーカー各社とも製造業向けのプラットフォームサービスの提供を開始しており、いずれは移行していくものと考えられる。
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