そして優勝は日本電子専門学校の「JEC学ラボー」となった。前回の準優勝チームである。学校のWebデザイン、情報処理、電子応用工学の3学科共同チームで出場し、それぞれの強みを生かして優勝を勝ち取った。
看護師の作業を助ける食事管理システムを企画/開発した。看護師不足は社会問題として取り上げられており、この問題を少しでも解決するシステムである。企画は、看護師のインタビューによって導き出された。アナログ作業が非常に多く、利用者である看護師の作業を楽にすることに貢献できる。
IoTデバイスとして、入院患者が食後にことができる箱を作った。RaspberryPi3が搭載されており、箱の上部にカメラが組み込まれている。そして箱の中に食器トレーを置くと、食べ残しの写真と食札のQRコードを撮影し、クラウドに蓄積する。
QRコードによって患者ごとに食事後の食べ残し状態を記録しており。Webシステムで記録された画像を、医師や家族とシェアできる。今回の開発成果では、看護師が写真を見ながらの食べ残し量など入力するようになっている。確かに、人手による入力作業が発生してしまうが、食後すぐに残飯処理しても、撮影した写真を基に看護師の手が空いた時間に入力作業をすることが可能だ。これによってケアなどの作業を優先できるため、現場の看護師へのインタビューでも歓迎されていた。
今後は機械学習によって自動記録できるようにしたいという。インタビューの動画や、漫画によるユーザーストーリーの紹介など、システムの有効性を上手に伝え、会場の共感を得ていたところが印象に残るプレゼンテーションであった。
IoTが普及し、事例やアイデアは飽和状態と言ってもいいかもしれない。そんな時代に、学生がIoTシステムを企画/開発するコンテスト野中で注目を得るには、目の付け所が勝負を分けたように思える。誰のどんな問題を解決するのか、どう解決するか、といった着眼点が勝負となってくる。
今回優勝したJEC学ラボーは、看護師不足といった社会問題を、クラウドと画像処理で解決するシステムを開発した。機械学習は実装できていなかったが、実装の可能性も高く、より効果的な問題解決を期待させてくれた。また、特別賞となったDEVERSは、本格的に機械学習を利用したシステムを企画/開発してきた。
優れたテクノロジーを適用するハードルが下がった現在、どう作るかよりも、誰のために何を作るかを考えることが重要になってきていることを実感した。
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