もっと話を発展させてみましょう。3D CADによるパーツモデリングはどうでしょうか。
積み木のような足し算や意図もなくモデルを削るような引き算で3Dモデル作成を行うのでなく、機能性を考えてモデリングできていたとしたのなら、より良いモデルだと考えるのは私だけではないと思います。
フィーチャー系のCADではこれが可能ですが、もしノンフィーチャー系のCADでそれを行うにはどうしたらよいでしょう。その場合は3Dモデルから作成される2D図面への盛り込みが必要になるでしょう。
寸法の配置の方法にも種類があることをご存じでしょうか。
表にまとめたように、直列寸法記入では、公差の累積が生じることがあります。寸法を入れる際には、記入方法についても考えるべきです。「転用した図面が直列寸法記入法だったから」では、いけません。
私の所属する会社の図面では、累進寸法記入法を良く見ます。調べた結果、社内に加工を行う部門があり、この記入方法が加工を行う上でやりやすかったということが分かりましたが、新人の設計者に「なぜ?」と聞いたところ、「分からない」と答えた人もいました。これではいけません。
もちろんそのような人は記入方法の特性も理解はできていないのであれば教育が必要になります。図面記入方法にもその会社の文化がありますが、根拠があるはずです。先にお話しした機能性を考えた寸法記入方法と同じく、その部品に適した、またその加工性に適した寸法配置方法というものも必要になります。
今後3D CAD上で寸法表示をしていく3D図面というものを多用させていく上でも、JISによる製図方法というものの理解が必要だと考えています。国際規格に適合した描き方によって、世界から取り残されないようにしなければなりません。
まずは今回、公差計算・公差解析を行う上での「寸法」「サイズ」というものをお話させていただきましたが、まだまだ言い尽くせない感じがしています。設計のごくごく基本的なことなのですが、設計者が知らなければならないことは広く、また私もまだまだ学ばなければならないようです。
次回も公差のお話になります。「公差(tolerance)」には、「サイズ公差(寸法公差)」と「幾何公差」があります。
あらためて、定義することも難しいのですが、私はこのように解釈しています。「寸法公差方式を用いて、設計者はその寸法のばらつきが許せる範囲を表現する。この許せる「ばらつき」の範囲が品質とコストを決めることになります。詳しくは次回にお話します。(次回に続く)
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