SBドライブはフランス・ナビヤ(Navya)の、そしてNTTドコモはDeNAと提携しているフランス・イージーマイル(EasyMile)の自動運転シャトルバスを活用してMaaS市場に参入している。同様の車両では3Dプリンタで車体を作る米国のローカルモーターズ(Local Motors)なども参入している。OSVehicleも車体製造に3Dプリンタを活用している。
このように非自動車メーカーおよびその提携パートナーが着々とMaaSへの進出を進める中自動車メーカーはどのような対応をとっているのか。
これは各社の事業戦略により異なってくる。早々にカーシェア/ライドシェアビジネスに参入した自動車メーカーもあれば、カーシェアリング専用の自動車を展開している企業もいる。遅ればせながら同市場に参入しようとしている自動車メーカーもあれば、自動車メーカーであり続けることを選択したところもある。ベンチャー企業であっても、自動車を製造できるようになった現在においてメーカーであることをやめ、モビリティサービスプロバイダーになると宣言した自動車メーカーもある。
しかし「ビジネス化は難しいだろう」とSBドライブの佐治氏は指摘する。というのも「全体の輸送人員のうちシェアサービスが運んでいるのは1〜2%にすぎない」(同氏)からだ。ウーバーのようにアプリをばらまき顧客を囲い込むことができれば、顧客基盤を構築することができるが、仮に自動車メーカーが同様のアプリを作ったところで、ユーザーからダウンロードされるかというと別の話だ。また仮に海外で成功していたとしても、日本で同サービスが利用でされるかというと恐らく難しいだろう。よって、「サービスをユーザーに近い位置で展開している人が窓口になるのが良い」(同氏)とする。
一方、OSVehicleのLiu氏は、「自動車メーカーの助けなしに事業を立ち上げたカーシェア事業者は多数いる。トレンドが形成されつつある中で、自動車メーカーのような大手が迅速なイノベーションを起こすのは難しい。であれば、買収か投資を行うのが良い選択だろう。既に実施し始めている自動車メーカーもいる」と提言する。
欧州系メーカーは2010年前後からカーシェアやライドシェアのサービスを始めている。米国においても2015年頃から同様の動きが本格化している。
つい先日(2017年10月30日)、中国の配車アプリ「滴滴」が2018年春に日本進出すると報じられた。日本の自動車メーカーに決断の時が迫りつつある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.